[追記]令和2年度版(最新)に更新しました。

10月も半ばに差し掛かり、中学3年生にとってはいよいよ志望校決定の重要な季節となってまいりました。
保護者の立場からすると、志望校を決定する上でどうしても心配なのは学費の問題ですよね。

行かせてあげたいけれどお金がないから行かせられない。そうして仕方なく進路を決めたご家庭も数多くあることでしょう。
学力があればなおさらです。我が子により質の良い教育を受けさせたいと思うのが親心でしょう。

今、このように経済的な理由で高校の選択肢が限られてしまうとお悩みの皆さん、朗報です。
神奈川県が動きました。平成30年度より学費支援を増額したことにより、公立高校でも私立高校でも授業料は実質ほぼ無償化といった状態となっています。

ただし、この支援は自動的に受けられるものではありません。申請が必要です。こちらからアクションを起こさないと支援を受けられないのです。

知らなかった皆さんに耳寄りな情報をお届けすべく、今回はこの神奈川県の学費支援について触れてみようと思います。

比較してみよう、公立高校と私立高校

本題に入る前にここで公立高校と私立高校の入学料および授業料を比較してみましょう。

高等学校入学料・授業料比較/出典:文部科学省HP、神奈川県HP

私立高校の金額は平成29年度の全国平均です。
文部科学省の資料を細かく見ていくと神奈川県のデータがわかります。神奈川県は入学料が207,402円、授業料が441,193円となっておりますが、これは一部の有名私立高校の金額が大幅に高いことが影響しています。ですから、県内の大半の私立高校は全国平均に近い金額であると考えてください。

比較するとやはり公立高校の安さが際立ちますね。しかも公立高校の場合、授業料118,800円は無償化でかかりませんので、経済的な負担は無いに等しい状態です。

これでは商品の善し悪しを見定める前に、消費者が公立高校へ集中してしまうのも無理ありません。
神奈川県はこうした事態を重く受け止め、学費支援増額によって私立高校の授業料も実質0円になるよう制度を強化したのです。

所得制限があります

実は学費支援には所得制限がかかります。つまり、各家庭の収入に応じて、補助の対象かどうか、いくらの補助が受けられるかが決められているのです。

所得制限の区分
区分1 生活保護→令和2年1月1日時点で生活保護
 
区分2 非課税→県民税・市町村民税の所得割額の合算額が0円

区分3 年収目安590万円未満→所得区分154,500円未満

区分4 年収目安700万円未満→所得区分203,100円未満

区分5 年収目安750万円未満→所得区分227,100円未満

区分6 年収目安910万円未満→所得区分304,200円未満

県が配布しているパンフレットを見ると、大きく6つに所得区分されています。まず自分がどの区分に属するかを確認することが必要です。
所得区分は令和2年度の「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」を元に行われています。(就学支援金による令和2年4月~6月の授業料補助については、以前の「県民税・市町村民税の所得割額の合算額[令和元(平成31)年度]」で判定します。)

右の年収はあくまで目安ですので、課税証明書マイナポータル(マイナンバーカードを用いたオンラインサービス)などで、まず自分の「課税標準額(課税所得額)」「調整控除」を確認しましょう。

どの区分にも属さない家庭は対象外です。304,200円未満の方は何らかの学費支援を受けられます。ちなみに所得区分に表示されている額は父母の合計額ですので注意してください。

課税標準額(課税所得額)についてよくわからないという方は別の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

「所得割額」と「課税所得」ってどう違うの?

学費支援①高等学校等就学支援金

高等学校等就学支援金 / 出典 神奈川県HP 令和2年度私立学費支援リーフレットより

支援の1つ目が、国からの学費支援である高等学校等就学支援金です。返済の必要は一切ありません。各区分に応じた額の支援を、授業料にあてることができます。他の学費にあてることはできませんので注意して下さい。また、授業料を超える額は支給されません

公式リーフレットの表が少しわかりづらいのですが区分1~区分3に該当する人への補助は396,000円区分4~区分6に該当する人への補助は118,800円となっています。

ちなみにこれ、公立高校の授業料にも適用されている制度です。公立高校の場合は、区分1から区分6まで一律で118,800円が支給されています。
逆にどの区分にも当てはまらない人は対象外です。公立高校無償化、無償化と言われていますが実は平成26年度より所得制限を設けていて、どの区分にも属さない人は、公立高校であろうと授業料が自己負担となっています。

学費支援②学費補助金

出典 神奈川県HP 令和2年度私立学費支援リーフレットより

国の補助に加えて、神奈川県からの学費支援にあたるのが、この学費補助金です。
国の補助だけではまかないきれない分を県がサポートしてくれるとお考えください。区分5までに限りますが、各区分に応じた金額を授業料にあてることができます。こちらも返済不要です。
さらに入学金の補助もつきます。よ、神奈川県太っ腹!

ただし、学費補助金を受けるに際しては注意することが2つあります。
生徒・保護者とも神奈川県在住であること
神奈川県内の私立高校に通う生徒であること

県の財政から捻出されているので当然といえば当然です。そもそも神奈川県民と神奈川県下の私立高校をサポートするための制度ですからね。
他県の高校への進学を考えている方、他県から神奈川県への進学を考えている方は、各都道府県に同じような補助制度がないか確認してみてください。

ポイント

就学支援金+学費補助金

①と②のをあわせたのがこちらの表です。すると、区分1から区分4までは一律444,000円の補助となり、授業料全国平均396,313円を十分にカバーして、公立高校と同様に授業料を実質無償化していることがお分かりでしょう。区分5でも授業料が約半額になり、さらに入学金補助もつきますからね。当然、授業料が支給額を超える場合は自己負担となりますよ。

まとめます

区分4までの家庭は、私立の授業料が実質無償化となる。
区分5までの家庭は、入学金補助が受けられる。
・①も②も、授業料にのみあてられる。
・授業料が上限を超える場合は、自己負担となる。

加えて、冒頭にも書きましたが、この学費支援は各学校に申請しなければ一切受けられません。過去に遡っての支援を受けることはできません。
各学校から配布される案内を見落とさないよう、くれぐれもご注意ください。申請時期は高校一年生が4月と6月高校二年生と三年生は6月です。

最後に

いかがでしたか?このほか紹介したもの以外では次のような学費支援もあります。

神奈川県高校生等奨学給付金(区分1と2のみ)
神奈川県高等学校奨学金(無利子の貸付制度)

さらに、各私立高校の特待生制度など、学ぶ場の選択肢が経済的な理由で制限されないようなサポートが数多く存在します。

こちらが今回参考にした
神奈川県のホームページです。

選択肢の幅が広がり「ここがいい!」と思える進路が見つかることを心より祈っております。

この記事を書いた人

加藤 正和
足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人

・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。

ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。

めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。