こんにちはこんばんは、富田です。
これから中学生になる小6生が何を身につけて進学すべきか、3回に渡って書いてきましたが、今回が最終回です。
過去3回の記事はこちら。
目次
円の公式2つをマスターしよう
図形の公式は多々あれど、私が考えるに最も定着させておきたいのは円の公式です。
円の公式は2つあり、円周を求める公式と、円の面積を求める公式です。この2つの円の公式ほど混同されるものはありません。だからこそ、徹底的にマスターしておく必要があります。
小学校の教科書が現在のものになって、なおさら混同が激しくなりました。というのも、2つの公式を2つの学年にまたいで学習するようになったからです。
まず小5で「円周の長さを求める公式」を学習し、その後小6で「円の面積を求める公式」を学習します。小5で円周の公式を習った段階ではみんなキチンと計算できていたのですが、小6で面積の公式を習うと恐怖の上書きが起こります。まるで円周の公式など無かったかのように、みんな「半径×半径×円周率」しか言えなくなってしまうのです。
実際に小6生に円周を求める問題を出すと、実に半分以上の生徒が間違えます。というか、よほど出来る子以外間違えると断言できます。それが中1になるともっと悪化しますので、覚悟しておくと良いでしょう。
円の公式のツラさを知っておく
円周だろうが円の面積だろうが、小学生たちの敵となることに変わりありません。小学生のどの分野と比較しても最も計算が面倒くさい。そして、その面倒くささをタップリと実感し、思い出に刻み込んでいて欲しいのです。
3.14をかけるというのは、それだけ手間のかかる計算です。
これが中1になると、3.14ではなくパイを使うようになりますので、もの凄く計算の手間が減るんですね。このとき小学校時代に散々苦労しておくと、その価値が実感できます。落差が大きいほど記憶に刻み込まれることでしょう。そういうものです。
小学校のときにちょっとしか触れてこなかった場合、パイを使った計算を習っても「ふーん」としか思いません。このようなタイプの子に限って、授業を受けてからちょっとすると、平気で3.14を使った計算に戻ってしまうのです。
どのくらい練習をつめば良いのか、1つの目安があります。それは「3.14×4が言えるかどうか」です。円の問題に触れ続けていれば、必ず何度も何度も登場する計算ですので、自然に暗記してしまいます。覚えようとして覚えたのではなく、勝手に覚えるというところがポイントですね。
その他の面積公式は
小学校で学習する面積の公式は、「正方形」「長方形」「平行四辺形」「台形」「ひし形」「三角形」です。このうち、三角形だけ形が違います。他は全部四角形ですからね。
そのため、三角形の面積計算を出来ない子がときどき出現します。不思議なもので、面積の公式を言わせると普通に暗唱できるのですが、実際に計算させるとどこを底辺・高さにしてよいか迷ったり、そもそも÷2をするのを忘れたりと、なかなか計算できません。
中学校に入っても、1/2をかけ忘れるミスが非常に目立ちます。台形のように公式そのものが複雑で、覚えて言えたときに喜びを感じるレベルになっくると忘れないのですが、三角形は非常に微妙な立ち位置なので、出来るようで出来ないままになりがちですね。
面積の話ばかりしましたが、体積は中学校で根本から全部習いますからあまり重要ではありません。小学生の知識がほぼゼロでもなんとかなります。面積は復習をする先生と全くしない先生に分かれますので、あらかじめ小学生のうちに身につけておく必要があるのです。
シリーズのまとめ
今回の円の公式をはじめ、計算編、文章題編とつづってきましたが、比較的上位層でも完璧になっている子はわずかです。小学校は復習する機会が極端に少なく、習ったときはスラスラ出来ていても、1年、2年とたつうちに急速に忘れてしまいます。
忘れること自体が悪いのではありません。触れていないものは忘れるに決まっています。大事なのは、「習ったときに一旦定着していること」です。一度身につけたものは忘れても取り戻すのが簡単です。
イマイチ理解し切れていないものを放置してしまうと、それはゼロの状態になります。こうなってしまうと中学校で理解し直しになるため、ただでさえ余裕の無いところにムダな負担がのしかかってきます。こうして数学がどんどん苦手になっていくというわけですね。
ちなみに、今年の公立高校入試、数学が大きく難化しました。その原因の1つに「分数の計算」が大量にあったことが挙げられます。図らずも、この記事に書いたとおり、分数の計算はとても大事だということが実証されてしまいました。
これから中学校に上がる小6生本人が読んでいるとも思えませんので、親御さんはぜひこのシリーズの記事を参考にして頂いて、1ヶ月間算数を鍛えてから中学校に入学させて下さい。それが中学数学のみならず、他の科目に好影響を及ぼすことでしょう。
「結局足し算・引き算・かけ算・割り算が出来ればいいんでしょ」なんてことはありません。小学生がやっていることは、そんな生易しいことではないのです。英語や数学を先に進めすぎても意味がありませんので、小学生の基礎を着実に身につけ、よい準備をして中学校へ進学しましょう。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
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