当該学年の「国語」に四苦八苦している生徒に、「社会の教科書」を使うと効果的ですよと言うお話を前回のブログでさせていただきましたが、今日はその実践編。では、実際にどう使っていけばいいのか。わたしが教え子達に指導している方法をご紹介させていただきます。
目次
絶対条件は「音読」
言語は五感をフル活用した方が絶対に覚えが早いです。社会の教科書をぜひ「音読」してください。
「目で見た文字を、指で追いかけながら、口で発して、耳で聞く。」
とってもシンプルなのですが、慣れてくるとどこかが必ずおろそかになります。
何事も基本姿勢が超重要です。疲れたからといって、「黙読」にしてしまっては効果も薄まってしまいますので注意しましょう。
トレーニング時間は30分
このトレーニングは非常にシンプルがゆえ飽きがくるのが早いことが難点です。小学校高学年~中学生なら30分ぐらいがちょうどよいのではないでしょうか。とにかくダラダラ長時間やるのは、効果も上がりませんしお勧めできません。慣れるまではまず「無理なく、集中力が続く時間」を自分なりに探してみましょう。
ちなみに集中力が切れたときのサインは、ズバリ「姿勢の乱れ」です。
ひじをつき始めたり、机に突っ伏したり、背中が丸まってきたと思ったら、集中力が切れかかってますよ。
続いて時間の使い方について具体的に触れていきます。
最初の10分:音読のための下準備
まず、初めの5分を使って見開き2ページ丁寧にゆっくり音読します。
私が指導する場合、この時間は必ずそばにいてワンフレーズずつ読み間違いを指摘していきます。友達でも家族でもいいので近くにいる人に協力してもらいましょう。この時間だけはだれかがいた方がはるかに効率がいいです。親や学校の先生、塾の先生にまとめて聞いてしまうことをおすすめします。
音読でつっかえる4大ポイント
突然ですがここで、音読が苦手な子供が突っかかる4大ポイントを挙げておきます。
その① 読めない漢字
最大の敵がまずこれですね。語彙の不足パート1です。難読な語句ならば仕方ないのですが、小学生レベルの漢字で手こずるようでは10分では足りません。また、読めない漢字をどう確認するか、これによっても所要時間は変わります。漢字はいつまで考えても読めないものは読めません。近くに教えてくれる人がいる場合はさっさとその人に聞いてしまいましょう。漢字辞典やネットで調べるのもありですが、大幅に時間をロスします。
その② 知らない言い回し
語彙の不足パート2です。使い慣れなかったり、古くてピンとこない言い回しも良くつっかえるポイントです。とくに「アクセント(単語レベルの音の高低)」が不自然になりがちなので、指導者が聞いているとすぐにわかります。正しい「アクセント」を伝えます。
その③ 助詞や語尾の言い間違え
はいきました!意外に怖いのがこの「ひらがな読み間違い」シリーズ。
どこが単語と単語の切れ目なのかを感覚的に理解して読み進める力(わたしはこれを「かたまり感覚」と呼んでます)が不足している証拠です。読書で経験値をがっつり稼いでいる子はこのポイントは難なくクリアします。読書量の差が顕著に出るポイントでもありますね。
「イントネーション(文レベルの音の高低・抑揚)」に不自然さがあったり、書いてある文字とは違う文字が思わず口をついてしまうなんていうミスが出てきます。とくに小学生に多いミスですので、小学生の国語指導ではとくに注意しているポイントです。
その④ 行と行の切れ目
最後は目が追いついていないパターンですね。改行したとき、次の行がどこだかわからずにリズムを崩してしまうんですね。慣れてくると人間は無意識のうちに、口で発しているよりも先の文字を目で追いかけるようになるわけですが、やはりこれも読書量に裏付けられる経験値で明暗がくっきり分かれます。
この4大ポイントをしっかりと指摘してあげて、まずは音読の「模範解答」を作っていきましょう。
オススメは、利き手にえんぴつを持ちながら、そのえんぴつで文字を追いかけながら音読していくことです。
えんぴつは
①読めなかった漢字にフリガナをふる
②「かたまり」としてつかみづらかった単語(ひらがな)を◯で囲む
といった目的で使います。
ちなみにわたしの場合、本文のみならず見出し、資料やグラフの説明、とにかく教科書の隅々まで読ませます。文字という文字はすべて練習材料にしてしまいます。
次の10分:サクサク読めるまで同じページを反復
下準備ができたら、10分間ひたすら音読を続けましょう。
「とにかくつっかえないで読み切る」を目標に10分間取り組んでみて下さい。
回数をこなしていくうちにスピードを読んでいっても構いません。
誤解を恐れずに言うと、ここでは極端な話、意味など理解しなくても構わないと考えています。
それよりも「正確に素早く読めることの快感」を味わっていただきたい。
「つっかえたら初めからやりなおしにする」などゲーム感覚で取り組んでも面白いかもしれません。
とにかく反復すること、回数勝負です。
最後の10分:知らない語句を意味調べ
最後の最後で「意味調べ」をしましょう。必ずです!
せっかく出会った言葉なのですから、どうせなら自分の言葉の泉に加えてあげるべきです。
もう一度すみからすみまで音読してみて、知らない言葉の意味を調べていきましょう。えんぴつをマーカーに持ちかえて作業すると効率的です。
ただし断っておきますが、語彙の習得は「意味を知る」ことがゴールではありません。自分で「使う」ことでようやく習得の第一歩を踏み出すことになります。面白がって、調べた言葉を乱発するくらいがちょうどいいくらいです。
指示語を別色のマーカーでマーキングして、指示語が指す内容をはっきりさせる練習をしてもいいでしょう。
時間が余るようでしたら、調べた意味を踏まえて、もう一度音読してトレーニング終了です。
まとめます
社会の教科書を使った国語力回復のための音読トレーニング
①見開き2ページを1回精読[10分](フリガナ・読みづらい部分を◯で囲む)
②同じページを反復して音読[10分]
③知らない言葉を意味調べ[10分]
繰り返しになりますが、社会の教科書は国語の教科書に比べると格段に読みやすいです。音読がスラスラできるということは、言葉のかたまり感覚や語彙が身に付いて、内容をつかみとるために必要な力が芽生えはじめた証拠なのです。国語の設問に正解するためには、本格的に国語の問題集の中で「解答を探し出す力」が必要となりますが、けっしてこの音読トレーニングが無駄になることはないでしょう。
国語が苦手だという人は夢中になって社会の教科書でトレーニングしてみて下さい。もしかすると社会もできるようになっているかもしれません。それがわたしの仕掛けた魔法なのですよフフフ。
この記事を書いた人
- 足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人
・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。
ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。
めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。
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