この夏から小学生の漢字テストに短文づくりを付け加えました。
目次
漢字練習と意味調べをドッキング
うちの塾では普段の授業で毎回漢字テストを行っています。
前の週に指定した範囲の漢字を練習して、その次の週にテストをして、間違った漢字をさらに練習して・・・というのを繰り返すごく普通のテストです。
その練習に漢字テストで出る漢字や熟語の意味調べをつけくわえました。
そのときに使ったプリントはこんな感じ↓です。「言葉コレクション」という名前をつけてます。安易ですね。
この方法を取り入れようと思ったのも、漢字は書けるけど意味はわからないor説明できない生徒が結構な割合でいたのが発端です。
意味を知らない漢字を書く方がかえって難しい気もしますけど、テストで満点を取るのが目的の彼らにとってはそうでもないようなんです。書けさえすればいいやって感じなんでしょう。
でもそれってすごく危ういし、もったいないです。
だから練習した漢字とその意味をむすびつけて覚えるために今回のような方法を取り入れました。
わからないことがあったら調べればいいってのを学んでほしいのも狙いです。
ここまでやって準備は完了。テスト本番を迎えます。
漢字テストに短文作りをドッキング
夏期特訓では通常行っている漢字テストに短文作りをくっつけました。
短文を作るためにキーワードを一つ用意するんですが、そのキーワードは練習してきた漢字・語句から選ばれます。
つまり調べた言葉を実際に使っていくわけです。
そうして出来上がった文をこちらが添削し、直して完成です。
この意味調べ&短文作りを毎回の授業で実施しました。
実際の生徒の様子
短文作りは苦難の道
テストをやり始めた数回はほとんどの生徒が短文作りに難航します。
そりゃそうです。いままでそんな機会はあまりなかったから。
その中でも特に苦労しているのが意味調べをして満足してしまったり、辞書に書いてある言葉の意味を丸覚えしてしまった(それはそれですごい)生徒です。
せっかく調べても理解していない、頭に入っていない言葉はでてきません。
そこで意味調べの方法について一つ注文をつけました。
それは辞書に書いてある意味を自分の言葉で書くこと。
要はその言葉を自分で「使える」状態にしてきてねということです。
「自分の言葉」がイメージしにくい場合は友達や年下の子にどう説明するか考えてみるようアドバイスしました。
徐々に変化が起こる
そうこうしているうちに、面白い変化が起きます。
意味を書く欄に書かれている文字の数がだんだん減ってきたのです。
辞書に書いてあるまんまではダメ→自分の言葉にする→たくさん書くのはイヤだから短くする、こんな感じで手を抜いたのでしょう。
「しめしめ、手を抜くことを覚えたな。」
生徒の言葉コレクションをチェックしながら、一人ニヤニヤしていました。
というのも、僕はこの手抜きを期待していたのです。
動機はなんであれ、言葉をできるだけ短くするには深い理解と要約が必要だからです。
知らず知らずのうちに求めていたもの以上の取り組みができるようになっている、これが痛快でした。
とはいえ、必要な言葉を削りすぎてもいけません。
そこはこちらが細かくチェックをして、何が必要かを教え、考え、補充をさせました。
そうした試行錯誤を繰り返していくうちに、だんだんと短文の方も洗練されていくのが見え、ニヤニヤが止まりませんでした。
短文にも個性が出る
短文作りにもかなり慣れてくると徐々にそれぞれの個性が出始めます。
だんだんファンタジー風の内容になってくる生徒、ニュースの内容にからめてくる生徒、実際に身の回りで起こったことを日記風に書く生徒・・・。
驚くのが、比較的多くの生徒が作文などにありがちなきれい事ではなく、何かしらの「毒」や「哀愁」を漂わせる文を作っていたことです(もちろん笑えるレベルの)。
そうしたこちらが考えてもみなかったレベルの「素」がだせるまで自然と文が書けるようになったのはかなりの収穫だったと思います。
ここで、特訓中に作られた短文のうち個人的にヒットしたものを一つ紹介したいと思います。
使ったキーワードは「故意」で、この春入塾した小学5年生の作品です。
友達を笑わせようとして故意に転んだけど、だれも見ていなかった。
「せつねぇ~~」思わずこの生徒のテストをまる付けしたときに声が出てしまいました。
「故意」を使うだけなら前半だけでいいのに、つけ加えられた後半がなんとも哀愁をさそいます。
この短文以外にも読んでいるこちらの心がピクリと動くような作品がいくつも作られました。
本人たちの希望や他教室の推薦作品などあったらどんどん紹介していきましょうかね。
夏だけで終わらせるのはもったいない
夏期特訓の内容として始めた意味調べ&短文作りでしたが、思いのほか手応えもよかったように思います。
手直しが必要な部分もあるので少し修正しながらではありますが、この取り組みは継続して行っていこうと思います。
ただ短文を作るだけでなく「調べる→理解する→覚える→使う→身につく」という勉強サイクルが自然とできるようになるための練習としても効果が期待できそうでわくわくします。
夏以降もつづけて力強い勉強スタイルを身につけていってもらうことにしましょう。
短文を作りの効果をぐっと上げる辞書の使い方についても書きました。
ぜひあわせて読んでみてください。
この記事を書いた人
- 山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。
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