こんにちは、富水教室の山田です。
先週のブログ『塾に通って成績が伸びる生徒と伸びない生徒』は、夏期講習中に感じたことについて書きました。
今週も夏休みに関することを書こうと思います。
目次
夏休みの宿題
増えました
子供達にとって夏休みと言えば、プールや花火といった楽しいものと同時に『夏休みの宿題』という楽しみとは正反対のものがイメージされると思います。
この夏休みの宿題ですが、最近の小学生と中学生の宿題は、昔に比べると大きく変わりました。
先ずは種類や数、これはかなり増えたと思います。
中学生の場合には、夏休み直後に定期テストがあるので、その分の宿題もあり膨大な量です。
我々の時代であれば、夏休みの宿題は7月中に終わらせて、8月は思う存分遊ぼうなんてこともできましたが、今の子供達は物理的に不可能だと思います。
学習塾の先生ですから、いい意味で解釈すれば、子供達が長期間勉強しないで学力が低下してしまうことを防止する為の配慮と考えることができます。が、・・・。
減りました
種類が増えた中で、無くなりつつあるものもあります。
それは、昔だったら定番で、ザ・夏休みの宿題ともいう『読書感想文』と『自由研究』です。
最近、この2つの宿題が『無い』または『選択』という学校が増えています。
夏休みの宿題の中でも、1番時間がかかり大変なものです。
『選択』と言われたら、やはりほとんどの生徒は選びません。
つまり、『選択』という学校も実質『無し』ということです。
全体的な量が増えたのだから、別にいいんじゃないのと言う方もいるかもしれませんが、私としてはこれからも残しておいた方がいいものではないかと思います。
私の意見なので、もう少し強く主張させていただくなら、『残すべきだ』と考えています。
読書感想文
母国語
読書感想文、これイコール国語力という訳ではありませんが、国語(日本語)への意識が低くなってきているのではないかと感じます。
この傾向は、学校だけではなくご家庭にも当てはまるのではないかと思います。
小学生の頃から英語を気にされているという保護者の方は多くいますが、その熱に比べると国語に対しての熱は低いと感じます。
英語は外国語、国語(日本語)は母国語です。
どう考えたって、母国語を超える外国語力なんてつくはずありません。
母国語の力が50なら、どう頑張ったって外国語の力は50、60なら60、70なら70までしか上がらないでしょう。
つまり、国語の力が英語の上限を決めてしまうということです。
国語の影響は、英語だけの話ではありません。
数学、理科、社会、当然ですが我々が勉強していくものなので、すべて日本語で書かれ日本語で質問されます。
数学の文章問題が苦手、理科や社会の記述問題が苦手、その半分は読み取る力や要約する力が無いからです。
問題文を読み適する式をつくる、実験内容や実験結果からその設問を解くために必要な数値を選ぶ、資料から読み取れることを指定された字数でまとめる、どれもこれも読解力が関係しています。
指導力不足?
最近は、国語が苦手な私から見ても、おやと思う子が多くなったと感じます。
この理由は簡単ではありませんが、国語を正しく指導できるような先生が減ってきているのではないかという気もします。
生徒達の話なので実情は定かではありませんが、教科書を数回読んであとは問題集を各自で解いておいてで終わってしまうような授業もあるそうです。
すべての教科に影響を与える国語力、短期的には養うことができない国語力、その国語に関係する読書感想文が『無い』または『選択』になってきている現状、なぜ貴重な機会を減らしてしまうのかと疑問に思います。
どう読み進めていけばいいのか、どう要約していけばいいのか、それらを正しく指導することができず、ただ読ませただ書かせてで終わってしまうから、読書感想文が消え去ろうとしているのではないでしょうか。
自由研究
学習要素満載
自由研究、これには様々な学習要素が含まれています。
先ずは、自分で実験をする。
次に、その結果をまとめる。
最後に、自分の自由研究についてクラスの生徒達の前で発表する。
実験をするといっても、学校での実験のように必要なものが用意されている訳ではありません。
何がどれくらい必要なのかを考え、それを準備するところから始まります。
実験、1度で成功するとは限りません。
成功するまで何度も繰り返すこともあるでしょうし、数日かかるような実験をするかもしれません。
生徒達がやる自由研究(実験)なので、その結果のほとんどは分かっていると思います。
その正しいとされる結果になるまでやるのも大変です。
実験後は、結果をまとめる作業です。
実験結果は、表を使って表すかグラフを使って表すか、後々発表もあるので、どう表現すれば分かりやすいかを考えます。
何度か失敗をしたのであれば、なぜ実験が上手くいかなかったのかも考察しなければなりません。
このまとめ作業だけでも、1日かかってしまうかもしれません。
ここまでできてようやく提出物として完成ですが、自由研究にはその先があります。
発表
発表、プレゼンテーションです。
自分の考えや意見をみんなの前で発表する。
提出物としてもゴールまでの過程がボリューム満点ですが、そこで終わらないのがこの自由研究です。
いまの神奈川県公立高校入試では、受検生の全員が1人ずつ面接を受けます。
また、大学入試でも、最近ではAO入試などが増えたことにより教科の試験ではなくプレゼンテーションを選考基準とするような場合もあります。
大勢の前で自分の意見を発表するような機会、多くあるものではありません。
やはりこちらも、その貴重な機会を減らしていまうことになるので、なぜかと疑問に思います。
もし、夏休みの宿題の量が膨大になった背景に、学力低下を懸念してというものがあるのであれば、『読書感想文』と『自由研究』の扱いを再度考え直した方がいいのではないでしょうか。
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