せっかく返ってきた成績表ですが、それをうまく活用できているでしょうか。

1~5の数字をぱっと見て、「良い成績が取れた、やったね」or「こんな成績になっちゃったヤバイ」と判断して終わり。

特に成績が悪かった場合、「次こそは頑張って良い成績を取ろう」と決意だけして終わってしまうこともしばしばです。

これでは次の成績は上がりません。

見るべきところは1~5の数字ではなくそのそばに書いてあるA○~Cでつけられた観点です。

各科目の観点ごとに評価が出され、そのまとめとして5~1の数字がつけられています。

今回はその成績のつけかたについてざっくりと解説していこうと思います。

観点はどのようにつけられるのか

中学校によっては観点をどうやって決めるのかをあらかじめ説明してくれるところもあるようですが、そうでないところや説明されたけど忘れてしまった人のために簡単にまとめてみましょう。

まず観点は以下の項目と内容でつけられます。

観点の項目と評価内容

知識・技能・・・今学んでいる内容に対する十分な知識や技能を持っているか

思考・判断・表現・・・今取り組んでいる課題を解決するための思考力があるか、それを表現できるか

主体的に学習に取り組む態度・・・学びに向かう積極性

どんな方法で評価するかは現場の先生に任されてはいますが、ざっくりとまとめるなら

観点の項目と評価対象

知識・技能・・・小テスト、単元テスト、定期テスト、実技テスト、実験

思考・判断・表現・・・レポートやプリントのまとめ欄

主体的に学習に取り組む態度・・・ディスカッション、発表、レポート、授業態度

って感じでしょうか。

※(7/21追記)
主体性については別の記事でまとめています。よろしければぜひ!

主体性ってどう評価される? テストから見える評価の仕方

評価されるタイミング

で、上のような評価はどのタイミングで行われるかというと、教科の単元ごとで行われます。

そのタイミングもある程度現場の先生に任されているでしょうから、勝手に区切ることはできませんが教科書に書いてある「○節」ごとと思っていればいいでしょう。おおよそ1~2週間単位ですかね。

そしてその単元ごとの評価をまとめて、成績表の観点として記録されるのです。

評価と通知表の関係

上にも書いたとおり、各観点はA○~Cで評価されます。

それぞれの評価は次のような点数に換算されます。

A○・・・5点  A・・・4点  B・・・3点  C○・・・2点  C・・・1点

で、観点ごとについた点数を合計して以下のように成績を5~1に振り分けます。

成績観点の合計
515・14
413~11
310~8
27~5
15~3

 

たとえばある科目の観点が「A、A、B」だったとしたらそれぞれ「4点、4点、3点」の合計11点なので成績は「4」がつきます。

もしこの成績を「5」にするには3つの観点のうちすべての評価を1つずつ上げるか、「B」の評価を「A○」にかえて、どれか一つを「A」から「A○」に変える必要があるといった感じです。

逆に3つの観点のうち1つでも評価を下げてしまうと、「3」になる可能性もあるわけでこの場合だと「4」を死守するにしても「5」に上げるにしても目的を持って各観点の評価を上げなければいけません。

ただ「A○~C」の評価基準が曖昧(先生の裁量に任されている)なので評価をあげるにはある程度の試行錯誤が必要です。

通知表の観点から成績アップの戦略を練る

例えば通知表の国語が次のような評価だったことを考えてみましょう。

知識・技能・・・        B

思考・判断・表現・・・     B

主体的に学習に取り組む態度・・・A

この場合、A(4点)が1つで、B(3点)が2つで合計10点。

なので成績は「3」がつけられます。

再度上の観点と成績の表を見てください。

あと一つ観点が上がれば、成績は「4」にアップします。

とすれば、上げやすいのは「B」の観点です。

「B」がついている観点は「知識・技能」、「思考・判断・表現」の2つ。

この2つの観点を上げるにはそれぞれ「小テスト、単元テストにそなえて準備をして高得点をとる」とか、「発表やレポートをできるだけ詳しく、伝わりやすいように工夫する」といった対策が取れます。

このように観点に注目することで成績をあげるために「どう頑張るか」が具体的に見え、対策や改善点が見つかり、行動にうつしやすくなります。

成績を上げるには一定期間の頑張りが必要

上に書いたようなシステムで特に重要なのは

1. 観点の評価は単元ごとに行われる

2. 単元ごとの評価がまとめられて成績表の観点評価になる

3. 観点評価によって最終的な成績が決まる

の3点です。

成績が単元ごとの評価をまとめてつけられるということは、一つの単元だけ頑張っても他の単元で手を抜いていたら評価は上がりにくいということを表しています。

つまり3日、4日の頑張りではそれまでに抱えてしまった低評価を覆しにくいのです。

少なくとも数週間単位、数ヶ月単位で頑張りが必要になるでしょう。

だからといって今回の成績を見て、心を入れかえ頑張って勉強しようとしている人(特に中3生)のひざを折るつもりはありません。

成績の付け方には表面上の評価だけでなく、その過程も評価することが勧められています。

また、各観点のまとめ方についてもはっきりとは決められていません。

ここからテストまでの1ヶ月間で頑張り通せば成績が上がる可能性は十分あります。

ただ数字だけにとらわれず成績表の観点をよく見て、自分に不足しているものが何か分析して、戦略的に勉強に取り組むのが成績を上げる方法の一つでしょう。

 

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。