神奈川県公立高校入試攻略の第二弾は問5にある資料の読み取りについてです。
・・・と行きたいところでしたが、この大問に関しては攻略のまえに分析が必要だなと感じたので、少し解体していきます。
資料の読み取りは問5にあたる問題ですが、取り扱いを間違えると他の受験生と大きく差がついてしまう問題です。
問5は上の画像のように文章と資料を組み合わせた問題です。
この内容から選択式の問題が一題(4点)、記述式の問題が一題(6点)出されます。
難易度を大まかにつかむために過去三年間の合格者平均点の推移を見てみましょう。
実施年度 | 平成29年 | 平成30年 | 平成31年 |
(ア) 選択問題 | 78.0% | 81.5% | 28.2% |
(イ) 記述問題 | 49.5% | 12.3% | 11.7% |
備考としてここに表示されている正解率は受検生全体ではなく、合格者の正解率を表しています。
そのため、全受検生を対象とした場合は表にある数字よりも更に低くなります。
難化する選択問題
で、まず目を引くのは選択問題の正解率が平成31年で急激に落ち込んでいる点です。
実施年度 | 平成29年 | 平成30年 | 平成31年 |
(ア) 選択問題 | 78.0% | 81.5% | 28.2% |
(イ) 記述問題 | 49.5% | 12.3% | 11.7% |
なぜこんなに低下したのでしょう。
考えられる理由の一つとして、選択肢の難化と資料の読み取りにくさがあります。
とはいえ、前年度から50ポイント近く下がるほどの難化ではありません。
全体的な難化に引きずられ、最後の問にかけられる時間が足りなくなったなど、他の大問の影響も大きいでしょう。
残された時間があとわずか、という状態で解くには大変厳しい問題です。
その上、正確に正解までたどり着くには資料(グラフ・図)と文章と選択肢を行ったり来たりするので視点がなかなか定まりません。
それが焦りを加速させます。
結果、ろくな根拠も見つからずに当てずっぽうで答えた受検生も多かったかもしれません。
難化した記述問題
ここでまた表の登場です。
今度は記述問題に焦点を当てましょう。
実施年度 | 平成29年 | 平成30年 | 平成31年 |
(ア) 選択問題 | 78.0% | 81.5% | 28.2% |
(イ) 記述問題 | 49.5% | 12.3% | 11.7% |
ここで目を引くのは平成30年から記述問題の正解率が落ちている点です。
「正解」の定義が変わったのでなければ、難易度の上昇は明らかです。
それまで合格者の半分は正解できていた問題が10人に1人まで落ち込んでいるんですから。
で、正解率が下がった理由です。
その原因はおそらくシンプルに難しくなったからでしょう。
具体的には平成29年度以前までは「◯◯さんの意見をふまえると」のような単純な要約が中心でした。
書いてあることを少しばかり削ったり、文末を整えたりくらいはさすがに必要でしたが、答えはほぼそのまま文章中に書いてありました。
一方、正解率が著しく下がった平成30年度以降は次のような出題に変わりました。
「表やグラフから読み取った変化の内容から、家庭の電力消費量が増加している理由は」に続く内容の記述。(平成30年度)
「表とグラフから読み取った内容から、リサイクル率を向上させるには」に続く内容の記述。(平成31年度)
簡単だった頃と比べると、次の点が異なります。
(1)グラフや表から必要なデータを読み取らねければいけない
(2)読み取ったことと文章の流れを組み合わせて考えなければならない
(3)書く内容を自分で考えなければならない
ということで、正解率の低さもある程度納得のいく難易度になっているのです。
とはいえ、難しい難しいとばかりいってても芸がありません。
それに合格者の10%しかできなかったような問題に正解したら、他の受検生に大きくリードをつけることができます。
次回は今回の分析をもとに、どのように問5を得点していくかについて書いていきます。
乞うご期待。
この記事を書いた人
- 山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。
最近の記事
- 小学生2023年7月7日夏の宿敵 読書感想文を攻略する3つのポイント
- 高校進学2022年2月16日令和4年度 神奈川県公立高校学力検査 社会の難易度分析
- 高校進学2022年2月15日令和4年度 神奈川県公立高校学力検査 国語の難易度分析
- 国語2021年12月10日国語の点を伸ばす プチテクニック 2選
- 投稿タグ
- 国語, 神奈川県公立高校入試, 分析