ここ小田原は、人口がそもそもあまり多くないのが奏功したのか、新型コロナウイルスの感染拡大は起こっていません。それでも不要不急の外出を避けた方が良いのは言うまでもなく、果たして塾が不要不急なのかと言われたら、ひとそれぞれ意見は違うと思います。
国が表明した前代未聞の休校要請、教育や経済に大きな影響があるのも承知で出されたからには、大きな意義があると受け止めました。当学院でも全校休校と同時に休講に入りました。
目次
学院生の学力を落とさない方法は何か
でも、常に頭にあるのは学院生のこと。塾という勉強に適した環境が無くなることで、彼らは立派に自宅で自学ができるのだろうか……?
答えはNoです。確かに普段から自学を磨く取り組みをしていますが、それはまだ塾という柱があってのこと。高校受験を経て大きな成長を遂げた中3生は確かな自学力を持っていますが、その後輩たちはまだまだひよっこです。
僕はあまり生徒を信用しないタイプ。中学生は勉強なんてしたくない、小学生はなおさらでしょう。塾という強制力無しに勉強へと向かう子も当然いますが、頭に浮かぶ顔は多くありません。
塾に集まれない状況でも、生徒たちの学力をできるだけ伸ばしたい。こうして取った選択肢が「授業のオンライン配信」でした。
小回りの効く塾の強みを最大限に生かす
僕らのような小さい塾の強みは、意思決定の速さにあります。親戚に大手塾の社員がいるので状況を聞いてみると、「映像配信なんていきなりはムリだよ」とのこと。やはり規模が大きいので、すぐにシステムを切り替えるのは不可能らしいのです。
幸いしたのは、授業を動画にして配信するノウハウがあったことです。僕が今まで収録してYoutubeに上げた動画は100本以上。そのほとんどが生徒しか見られない限定動画なのでチャンネル登録者数は25人くらいしかいませんけどね。言ってみたいですよ、「チャンネル登録よろしく!」って。恥ずっ。
動画配信自体は大げさに考える必要ありません。そう、iphoneがあればね。どっかのCMみたいですね。
スマホが1台あれば、撮影・編集・アップロードまで全部できます。そんな時代ですので、スパっと映像配信が決まり、順次開始していきました。
そんなコロナ禍のさなかにウチの塾がオンラインで取り組んでいたことを振り返ってみます。ここからが本編です(笑)
授業を動画で配信
2週間休講する分の授業を、すべて動画で配信しました。まあ、現在進行形でまだ配信は続いていますが。
教室によって配信の仕方が若干違いますが、いずれも動画のURLをご家庭に送信する方法です。動画はYoutubeに上がっていますので、URLさえ知っていれば誰でも見られます。
普通に公開してしまっても良かったのですが、無関係な人のコメントがつくのもちょっと違うかな、と考えて内部の方だけに制限しました。個人的には公開で授業配信もしたいので、今回の経験を踏まえてゆくゆくは挑戦しようと思います。
僕の教室はLINEの一斉メッセージで配信しました。個別に送っても良かったのですが、面倒なのでやめました。
送ってみて気がついたんですけど、稼働期間が長い螢田教室のLINEアカウントは、現役の学院生以外にもたくさんの登録者がいるんですよね。何なら他塾の先生とかもいます。見られるのは大歓迎ですので、どうぞお楽しみください、といったところでしょうか。
ちなみに卒業生から冷やかしの励ましのLINEが来ました。懐かしいですね。
課題をオンラインで提出
Youtube上にはあまたの授業動画があります。それこそ僕なんかよりはるかにわかりやすい神授業動画もたくさんあるんですね。
でも、ほとんどの場合学力は伸びません。授業動画最大の弱点は、「見るだけ」になってしまうことです。わかりやすい授業ほどわかった気になるので、その後の演習がおろそかになりがちです。
でも、神授業なのは先生が神なのであって、生徒ではありません。習ったことを再現できるようになるための演習は不可欠なんですね。
そこで、動画内で宿題の指示を出し、やったものを写真に撮って提出させました。これで演習の管理ができます。
個人的にはこれが大当たり。今回僕が生徒に課したのは、「3日以内に提出」というもの。普段の授業では1週間後に提出なので、生徒によっては塾に来る直前に慌てて片付ける場合も出てきます。3日以内というのはかなり理想的なタイミングなんですよね。
さらに、提出された宿題を添削できるので、より細かい指導が一人一人にできました。その分僕のプライベートはゴリゴリに削られていきましたが、綿密なチェックができたので、よしとしましょう。
授業を生配信で中継
今回実験的にやってみたかったのが、この生配信授業です。
ある教室のクラスが「全員自分のスマホを持っている」というレアケースだったので、この機会にやってみました。
Zoomでも良いのですが、YoutubeLIVEなら配信が動画として残るので、後者を選ぶことに。
2週にわたって実施しましたが、さすがに慣れないシステムに手こずり、課題を残す結果になってしまいました。
超画質のiPhoneをカメラ代わりにして配信を試みた1週目は、テスト配信で上手くいっていたにも関わらず、本番でまさかの接続不良。急遽PCの内蔵カメラで配信したので、画質がイマイチでした。
さらに配信用にPCが必要なため、電子黒板の本領発揮ができず。
翌週は反省を生かし、PC2台体制で臨みました。妻から接収したPCに電子黒板ツールをぶち込み、道具は万全です。
無事生放送も開始して、しばらくいい感じで授業をしていたら、突然のWi-fi切れ。確かに教室のルータはしょっちゅう切れるのですが、大事なときに限ってやらかしてくれます。
仕方ないので急遽生放送を立て直し、慌てて生徒たちをそちらに誘導しました。
それからは問題なく授業ができました。画質はさすがiphone、前回のカメラとは雲泥の差ですね。
無線環境さえ安定すれば非常に有用なツールです。
毎日の会議をオンライン化
保護者面談明けからスタートした自習解放。やはり勉強をする場所に飢えている子はたくさんいました。
こちらの予想以上に多くの生徒が来てくれました。あまり来すぎると密集してしまいますが、いいあんばいで来たので、良い環境が提供できたと思います。
ただ、自習解放するにあたって困ったことが1つ。それは先生たちの日々の会議ができなくなってしまったこと。
普段は毎日本部へ集合して仕事をし、それから各教室を開けていました。自習期間中はずっと各教室にいるので顔を合わせなくなってしまったのです。
ですが、それもオンラインで問題なくこなせます。いわゆるビデオ会議ですね。
Zoomとスマホがあれば快適に会議がこなせます。スマホには生徒やご家庭からポンポンLINEが飛び込むので、僕はiPadを使っていました。画面が大きいのでスマホより楽です。
難点は、自習に来ている生徒からすると、先生がひたすら独り言を言っているようにしか見えないことでしょうか。インカムをつけているので、生徒たちには会議内容が聞こえないのです。
なので、僕は「今から独り言言うからね」と生徒に宣言をしてから始めていました。小心者なんで。
講師の打ち合わせもオンライン化
例年春期講習の前に、講師全員で講習会の打ち合わせをしていましたが、今年は集まるのをやめました。
まあ、授業を休講しているのも密集・発話を避けるためですからね。そんな中必要なこととはいえ、大人が大人数狭い部屋で打ち合わせなんて身の毛もよだつ状況です(いろんな意味で笑)。
そこで登場するのはまたまたZoom。時間だけ決めて、自由な場所から参加することにしました。
何が良いって、わざわざ会議の場所に行く必要が無いことです。オンラインで何不自由なく打ち合わせができてしまいました。
僕は自宅の書斎で参加していましたが、打ち合わせの直前まで娘と楽しく夕食を作ってましたからね。打ち合わせ中はリビングでは子どもたちがキャーキャー暴れていましたが、あとで他の先生に聞いてみたらバレていませんでした。素晴らしいシステムです。
まとめ
大手塾と違い、ウチの塾は小規模なので「大人数が密集」なんて状況にはなりえないのですが、それでも休講にしたのは、オンラインでもしっかりとした指導ができるという自信があったからです。
もうすぐ始まる春期講習からは感染対策をした上で対面の授業に戻ります。しかし、今回の危機的な状況で得たオンライン指導のノウハウは無駄にはならないでしょう。
僕は以前から生徒の質問に動画で答えるなんてことも当たり前にやっています。高校生の質問にLINEのメッセージで答えていたらキリがありませんし。
そういった生徒対応はもちろん、保護者対象のミニセミナーを生配信でやったら、どこかに集まる手間もありませんし、場所代もかかりませんし、何より有益な情報をこまめに伝えることができます。すごく面白いアイデアだと思うので、ぜひトライしてみたいと思います。
何でもかんでもオンラインにして上手くいくわけではありません。対面の良さはもちろんあります。しかし、今後も台風が来たり地震が来たりするかもしれません(可能性大)ので、そのとき即座にオンライン対応できれば、よりよいサービスが提供できそうです。
ブログの記事を動画にしてみたら需要ありませんかね。なんだかんだで塾講師は話すのが好きな人種ですので、動画だと話が盛り上がりそうです。一人語りですけど。
さあ、久しぶりの授業ですね。カメラに向かってしゃべるのには飽きました。例年以上に春期講習が楽しみです。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
最近の記事
- 勉強法2024年6月15日ワークは何も見ないで解こう!調べながら解いてはいけない理由
- 小学生2023年7月7日小学生が絶対にマスターすべき算数まとめ
- 高校進学2022年2月15日令和4年度 神奈川県公立高校学力検査 理科の難易度分析
- 高校進学2022年2月1日【令和4年度】2022年度神奈川県公立高校志願変更前倍率の考察