もうコロナというワードを口にするだけで気が滅入ってしまいますが、学校が休校している今、本当にしんどい日々が続いています。3月に休校した当初は非日常にウキウキしていた子どもたちも、いい加減えも言われぬ不安を感じ取っていることでしょう。

ウチの塾はといえば、小学生は超分散授業で人口密度を減らしに減らして学習を進めていますし、中高生はオンライン指導でむしろ普段の塾よりハードに勉強する毎日が続いています。

この休校期間はひとまず5/6までとなっています。でも、僕が改めて言うまでもなく、5月から晴れて新学期スタート!なんて展開を想像している人は少ないんじゃないですか?ちなみに僕は全く思っていません。

いや、わかりませんけどね。緊急事態宣言による自粛が功を奏して劇的に感染者が減少していく可能性だってゼロではありませんし。ただ、今よりはるかに穏やかだった3月ですら休校していたのですから、5月からおとなしくスタートが切れるとは思えませんよね。

仮に5月にスタートしたとしましょう。その休校明けに何が起こり、何を備えれば良いか、いっしょに考えてみましょう。影響が最も大きい中学生について、掘り下げてみます。

消える長期休みや行事

まず、すでに1ヶ月分の授業が消えています。仮に5月から再開したとしても。

授業を確保しようと考えると、当然夏休みが1ヶ月削られることになるのは誰でも想像が付きます。いわゆるお盆休みに1週間ほど休んで、あとはカレンダー通りになる、そんなところでしょう。

今まで夏休みとカブって全スルーの憂き目にあっていた「山の日」がその存在感を遺憾なく発揮することになるかもしれませんね。

また、行事も減るでしょう。運動会は感染予防の見地からも絶望的でしょうし、飛沫の嵐が吹き荒れる合唱コンクールも不可能でしょう。このような準備に時間がかかる行事を減らすことで、年間の時数がかなり確保出来ます。

夏休みが消えて困ること

夏休みが勉強面で果たしていることを考えると、影響が大きすぎてめまいがしそうです。

まず、夏休みが無いということは夏休みの宿題もありません。嬉しい人が9割くらいだと思いますし、なんなら当時の僕だったら嬉しいグループですね、間違いなく。

でも、「課題で稼ぐ子」は困ります。テストはそこそこでも、課題にしっかりと手間暇をかけて成績を稼ぐタイプの子たちにとっては、主戦場が無くなってしまうのでつらいでしょう。その分テストを頑張らないといけませんね。

また、夏休みは格好の復習チャンスでもあります。前半戦でつまずいてしまった子でも、夏休みに必死こいて挽回することが充分に可能です。

神奈川の受検生ならば、中1や中2の理科・社会の基礎を徹底的に反復・定着できるのも夏休みです。その夏休みが無くなってしまうとしたら、いったいいつ復習すればいいのでしょう

どう考えても、今やるしかないじゃないですか。

そして、受検生なら秋には教科書内容を全て終わらせておかないといけません。そのため、ほとんどの塾で夏休みは教科書内容をどんどん予習していきます。ウチの塾も例外ではありません。

でも、今年は夏休みが無さそうです。予習ペースのブーストがかかる時期がすっぽり無くなってしまったら、いつ予習を進めれば良いのでしょう

どう考えても、今やるしかないじゃないですか(本日2回目)。

ハイペースの授業

長期休みや行事を削って授業時間を1ヶ月分確保したとしましょう。それで万事OKかというと、1つ忘れてはいけないことがあります。

新中1の子たちはいいんですよ。でも、2年生や3年生は3月も1ヶ月間休んでいますよね。学年が変わるとリセット、なんてことは中学校ではありえません。定期テストが2月中旬にある小田原市の中学校だと、3月は普通に授業がたっぷりあったはずです。そして、教科書が全部終わっている学校なんてほぼほぼありません。

つまりこういうことです。

普段でさえ教科書の内容を終わらせるのがギリギリなのに、前の学年の1ヶ月分を加えた大量のカリキュラムをいつもより短い期間で終わらせなければいけない

どう考えても無理です。

当然ハイペースで授業をやる必要があるでしょう。数学なら、基本的な解き方を説明したら演習をカットして次の分野に進む。塾でやってることを想定してサラッと解説して進む。こんな対応が考えられます。普段からそんな先生もいますけど。

理科なら、実験を先生が見せてレポート出させて終わりにする、そんな可能性もあります。先ほど書いたとおり自由研究がカットになるなら、レポートの重要性たるや……

塾に通っていれば充分予習が出来ているので問題ありませんが、塾に行っていない人は例年以上につらいかもしれません

テスト回数の減少

小田原市の中学校は二期制です。通常だと第1回テストが6月にあり、範囲は約2ヶ月分くらい。

ところが、5月スタートをした場合、いつもと比べて極端に範囲が短くなります。数学や英語なら前の学年の復習をタップリと出題することができますが、理科や社会の場合、通常復習内容は出題されません。

その場合、7月にテストがスライドされるかもしれません。すると次のテストが9月ですので、また範囲が短くなります。ただ、夏休みが短縮される可能性が極めて高いので、8月もめいっぱい授業になれば9月のテストはちょうど良いタイミングでしょう。

中3生にとって最も重要な11月の第3回テストは予定通りできるかもしれません。

問題は、5月にスタート出来なかった場合です。あまりに短期間でテストが小刻みに行われることになってしまうため、テストの回数が減る可能性もあります。

テストの回数が減るのは、その分チャンスも減ると言うこと。現実に高校生は学年末テストが無くなってしまい、今回飛躍的な成績アップを目指していた生徒が大打撃を受けました。テストの回数はある程度多い方が修正も効きますし、1回のウエイトが減るので取り組みやすくなるんです。

1回1回の重みが増すことになると、プレッシャーも濃くなってきます。メンタル面でも不安が残りそうです。

入試の日程変更の可能性

最終的に高校入試にしわ寄せが来ることになるでしょう。

どう考えても中3の教科書内容が2月中旬までに終わるとは思えません。例年でも1月いっぱいまでかかって教科書を終える中学校が多いですからね。

そうなると、2つのシナリオが考えられます。

1つは入試の日程を半月程度遅らせる、つまり3月頭にする方法。もう1つは日程はそのままで範囲を削る方法です。

範囲を削るのは難しいでしょうね。まるっきり教科書の順番を無視して教える先生もいるので、ヘタに範囲を削ると、入試に出題されない分野は終わっているのに、入試に必須な分野が終わっていない、という中学校が出てきてしまいます。

元々神奈川県は全国的にも入試の日程が早く、例年バレンタイン前後には入試が行われ、2月最終日には合否が確定します。他県を見回すと3月に入試があるところも珍しくありません。なら、日程が変更になる可能性の方が高そうです。あくまで予想ですが。

ただ、これは塾業界特有の問題が生じる可能性があります。3月から新学年の授業がスタートする塾だと、入試がまだ終わっていないのに新学年の授業が始まるというなんともせわしない状況になってしまいます。ウチの塾は春期講習スタートなので無関係です。

ちなみに、日程も範囲もそのままという可能性は否定出来ません

まとめ

学校がいつから再開するか、誰も知りませんしわかりません。

だから、こういったシナリオを想定しても、全く違う事態になる可能性があります。でも、我々はたとえムダだと分かっていても、常に先の事態を想定して、先手を打っていかなければいけません。もちろん生徒たちのために。

そして、自分の子どものことを全力で考えてあげられるのは、他でもない保護者の方だけです。今は休校中だし動くのは学校が始まってからと考える方もいるでしょうし、今の状況に危機感を持って早々と動かれる方もいるでしょう。

そんな判断の助けになればと考えて、頭の中をちょっとだけ文章化してみました。

もちろん僕らは先に向かって動きます。毎日オンライン自習室にこもって勉強をしている生徒たちが、どんな状況になっても結果を出せるように。

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。