今までにない、短い夏休みが終わりました。
今年のエコール学院の夏期特訓のテーマは「短い時間を濃く使う」というものだったんですが、文字通り短いながらもとっても濃い講習期間となりました。
中学生は授業とは別にオンライン自習の時間を設けることで、授業&演習&復習と3拍子整った勉強ができました。
もちろん彼らの負担は大きかったと思います。
特に中3生。
例年ならすでに引退している部活も夏休み最後に行われる交流戦までまで続きました。
その上で塾の授業は日曜を除く毎日。
そしてオンライン自習です。
クタクタになったでしょう。
でもよく乗り切ってくれました。
そこでの成果を9月頭のテストで発揮することになります。
あと数週間、戦いは続きます。
問題を解きに解きまくって、覚えたことや学んだことを「秒で」答えられるまで仕上げきっていきましょう。
(白鴎中はすでにテストを終えていますが。)
さてそうした密なスケジュールの陰で、小学生も国語である戦いに挑んでいました。
それは「論理」との戦いです。
普段から論理的な思考を身につけるべく、読解演習に取り組んでいる彼らではありますが、今年の夏はそこに完全ピュアな「論理的な思考」を植え付ける、専門のテキストを導入しました。
論理的な感覚を身につける
これがもう大当たり。
頭の中にあるにはあっても埋もれている論理的な考えが、根こそぎ引っこ抜かれて明らかになっていく感覚。
今まで考えたことがないような、新しい視点・考え方。
解いたり答え合わせをするたびに、そこかしこから聞こえる「あ、そっか~」「なるほど~」の声。
休憩時間なのにも関わらず、止まらない手。
授業終了のチャイムと同時に、「え、もう終わり?」、「あっという間だった~」
そういう楽しい発見が彼らの多くを夢中にさせてくれたようです。
どんな問題だったか軽く紹介します
どんな問題があったか、少しアレンジして紹介しましょう。
問 次の文を要約して15字以内の短い文にしなさい。
トラはウサギよりも大きいが、サイよりは小さい。
もともと短いこの文をさらに短くします。
元の文が句読点を入れても23文字。
表現を変えるだけでは字数に収まりません。
ということは内容を削るしかない。
この文に含まれている内容は二つ。
①「トラはウサギより大きい。」
②「トラはサイよりは小さい。」
このどちらかを削らなければいけません。
え?
どっちを削っても同じじゃないの?
と思った人もいるでしょう。
結論はNO。
さて、もったいぶってもしかたありません。
答えの発表です。
正解は…
「トラはサイよりは小さい。」です。
つまり、削るべき内容は「トラはウサギより大きい。」ということになります。
で、答えが分かっただけで終わらないのがこの問題の大事なところです。
なぜ「トラはウサギより大きい。」では不正解なのでしょうか。
それをさらに考えていきます。
なぜだかわかりますか?
ちなみに同じ質問をした中学生のうち、1秒で正しい理由を言えた子がいました。
おそろしい思考力の切れ味です。
さて理由について述べましょう。せっかくなのでその中学生の言葉を借ります。
なぜ「トラはウサギより大きい。」では不正解なのか、それは…
「この表現ではトラの大きさが無限に考えられるから。」
どうです?
当たりましたか?
少し言葉を付け加えると、「トラはウサギより大きい。」ではだいたいの大きさがイメージできません。
「ウサギより大きいと言うことはネコくらいの大きさなのかな?」と受け取る人もいるでしょうし、もしかすると「クジラくらい大きいの?」と受け取る人もいるでしょう。
一方で「サイよりは小さい。」と表現しておけば想像できるトラの大きさに制限を加えることができます。
なお、「トラの大きさなんてみんな知ってるじゃん笑、こんな問題意味ないよ」とか考えた人いませんか?もしいたら、ちょっと注意です。
この問題の目的は「情報を正確に伝える方法」を身につけることにあるので、「トラ」、「ウサギ」、「サイ」の部分は正直なんでもいいのです。
誤った表現にした場合、相手にどう伝わるかをも考えられる良問なんですね。
さてこんな感じの問題をひたすらに考え抜いた夏だったんですが、上にも言ったように今年の夏休みは短かったわけです。
こんなに知的好奇心をくすぐるような良教材も一夏で終わるような軟弱テキストではありません。
ということで、引き続きレギュラーの授業でも取り組んでいくことになります。
この教材や授業を通して、メキメキ力をつけていく彼らを想像するだけでワクワクが止まりません!
この記事を書いた人
- 山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。
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