ウチの塾は試験対策授業をしません。我々がテストを研究して用意したプリントをひたすら解かせるような授業をすれば一時的にテストが伸びるのは分かっていますが、それは塾の力であって、本人の実力ではありません。
高校生で全く勉強が出来なくなる原因として、塾が詰め込みが無くなったから、という事情が少なからずあります。要は自分だと何して良いか分からないんですね。
対策授業をしない代わりに、教室でのテスト勉強時間は最低50時間以上確保します。また、勉強方法も具体的に教えます。こうして自学力を磨きながらテスト勉強に打ち込むわけです。
でも、同じように長時間勉強しているにも関わらず、当然結果には差が生まれます。すると、保護者の方からこういった意見が寄せられるのです。
「勉強時間のわりにテストの点数が取れていない」と。
その理由を解説していこうと思います。
目次
勉強時間のわりにテストの点数が伸びない理由
1.実はやってないから
机に向かっている時間=勉強時間ではありません。
多くの子が机に座っている時間にこんなことをしています。
手を止める、ボーっとする、スマホを気にする、スマホを触っている(論外)、音楽に意識を取られる、ウトウトする、突っ伏して寝る。例を挙げたらキリがありません。
試験対策演習中、生徒を観察していると低学年の生徒ほど手を止めている生徒が増えます。たびたびトイレに立ったり、頻繁に飲み物を飲みに行ったり、いかに時間を消費するかを工夫している子も。そんな工夫はいらないし。
まあ、これは全員多かれ少なかれ何かしら該当するんじゃないでしょうか。かくいう僕だって、このブログを執筆している間に何度も飽きて中断していますし。飽きると他の仕事をして気を紛らわしています。
例えば、現在は既に社会人になっている元生徒ですが、高3の受験期に丸一日塾に入り浸って勉強していたんですよね。でも、ふとストップウォッチを渡して「実際に勉強している時間を計ってみなさい」と言ったところ、塾の滞在時間の半分くらいしか勉強時間がありませんでした。
恐ろしいのが、本人の自覚がゼロだったことです。それにショックを受けて以来、彼の勉強ペースが上がったのは言うまでもありません。
2.テスト勉強しかやってないから
塾に通っている子はもれなくテスト勉強をしています。またはさせられています。
だから、正直テスト勉強で差が付くことはあまりないんですよね。だってみんな勉強しているんですから。これが他の子より20時間多いよ!なんて突き抜けているなら話は別ですけどね。
じゃあ普段はどうなんでしょう。部活と宿題だけになっている子が多いのが現実ですよね。
普段から1時間ずつ学校のワークを進めたり、単語や用語を暗記している子は、2ヶ月で60時間余計に勉強していることになります。つまり、テスト前に50時間勉強する子のやることは、テスト期間に入るときにはすでに終わっているわけです。
テスト前しか頑張らない子は、この時点で周回遅れみたいなものです。そりゃ長時間勉強しているように見えても結果はまるで違うでしょう。
3.1回しか解いてないから
たびたびブログでも書いていますが、ワークを1周しても得点力は上がりません。
1周目は、元々解ける問題はマルになるし、出来ない問題はバツになるだけです。せいぜい答え合わせのときに正しい答えを見て多少覚えるかもしれない程度ですね。
そこで解説を熟読して理解したり、先生に質問して理解したりすると、少し力が上がります。でもまだまだ。
ここで2周目を自力で解いていくと、このとき大きく得点力が上がっていきます。とにかく自分で考えるという動作をしているかどうかがポイントです。
さらに3周目をやればひとまずゴールといって良いでしょう。そう、伸ばす子はこのくらいやっているんです。
学校の提出物だろうが塾のテキストだろうが、繰り返さなければ能力は上がっていきません。3回解いたのにテストが伸びない!となって初めて勉強方法を疑っても良い、そんなレベルだと思ってください。
4.楽なことしかしていないから
ここまで当てはまる項目がないとすれば、これが一番疑わしい原因だと思います。
ひらたく言ってしまえば、「簡単な問題しか解いてない」ということです。
例えば数学のテストで8割を狙うなら、まず教科書の章末問題を含めて全問を解けるようにしておく必要があります。それも、ある程度のスピードでスラスラ解けないといけません。
それに加えて、学校のワークの一番難しい問題以外は全部マスターしておきたいところです。そこまでやってようやく8割に届くかどうかでしょう。もちろん学校の先生の作問能力にもよりますけどね。
注意したいのは、テキスト選びを間違うことです。多くの市販教材は、比較的簡単な問題の割合が多いので、テスト勉強に使える難易度の問題がちょっと少なめです。もちろん高難易度の問題集を買えば解決しますが、なかなか1冊で網羅するのは難しいと思います。
塾で使っているテキストは、その塾が目指すレベル帯に合わせて決められています(普通は)。だから、塾に行っている子は塾のテキストを解き込むのが近道です。
ウチの塾でも、2年前から教材のレベルを上げました。これは生徒たちの得点力を高いレベルに伸ばすためです。
楽な問題ばかり解くことでテスト時間を消費してしまうと、勉強時間に対して得点は伸びません。ある程度真面目に勉強する子の保護者の方が感じる違和感の理由は、これが原因かもしれませんね。
5.伸びる限界だから
ここまで何の問題もない、という子の場合は、もうその点数がその子の限界である可能性があります。
何でもそうですが、正しいトレーニングを積むことで、ある程度能力は伸びていきます。でも、それは個人差がありますよね。
僕は野球部でしたが、どう頑張っても150km/hのストレートを投げられるとは思えません。いやそこまで人生かけて練習してないからホントのところは分からないですけどね、逆に言えば全てを懸けるくらいの覚悟がないと、とうていたどり着かないレベルなのは間違いありません。
テストの得点だって同じ事でしょう。誰もが頑張ったら満点になるわけではありません。もしかしたら10年くらいあれば取れるかもしれませんが、中学生は3年間しか無いんです。
つまり、限られた時間で伸ばすことの出来る能力には限界があります。
た、だ、し、そこまで突き詰めて勉強をしている生徒は、今まで指導してきた中でも数人でしょう。ほぼ全ての中学生は、限界なんて言い訳している場合じゃ無いってことですね。
まとめ
今回上げた5つの理由は、初歩的な順番になっています。
中1生や中2生だと、普段の勉強に問題があるパターン、中3生だと反復の回数や解いている問題のレベルに問題があるパターンが多いでしょう。
お子さんがどうも勉強時間の割に伸びないと思っている保護者の方、ぜひ上の5項目を4つめまでチェックしてください。きっと糸口が見つかると思いますよ。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
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