「先生、電子辞書ってあったほうがいいでしょうか?」
保護者面談で繰り返し聞かれるこの質問ですが、高校生なら迷わず「必ず用意してください」となるところ。さすがにこのご時世、「いや、紙の辞書の方がいいですよ!」なんて口が裂けても言えません。
しかし中学生となると話は違います。
目次
結論
いつものごとくダラダラと長いので、結論から最初に書いておきましょう。
中学生が電子辞書を買う必要はありません。高校生になってからで充分です。
また、自信を持ってオススメできる機種もありません!もちろん買って損をするというわけではありませんが、そのお金があったら他のものに使った方が幸せだと思います。
中学生に電子辞書がいらない5つの理由
最初に断っておきますが、子どもに投資を惜しまない親御さんが電子辞書を買い与えるのを否定するわけではありません。でも、たいていのご家庭にとって電子辞書は安い買い物ではありませんよね。だから無理して買わなくていいですよ~といいたいだけなのです。
1.大人用の辞書は理解出来ない
家電量販店に売っている電子辞書は大人用か高校生用がほとんど。セール品も多いので、結構安く手に入ります。
ただ、中学生に大人用の電子辞書を与えても、ほとんど役に立ちません。その理由は大きく2つ。
1つは英和辞書の語数が多すぎる点。辞書に関しては、大は小を兼ねません。超上位層を除き、中学生には情報が多すぎます。
もう1つは国語辞典の説明が難しすぎる点。意味を調べる→書いてあることが分からない→また意味を調べる→無限ループ笑、になりがちです。
まあ、中3になれば大人用の辞書を理解出来るようになってもおかしくありませんが、中1ならプライドを捨てて小学生辞典を使った方が役に立つでしょう。
例えば、「利益」という言葉の意味を調べてみます。中1数学の冒頭で出てくる言葉で、多くの元小学生が知らない言葉です。
塾の小学生辞典でひくと……
ためになること。役に立つこと。もうけ。得。
うーん、とってもシンプルで分かりやすいですね。
これを僕のお気に入りである新明解国語辞典でひくと……
何かをすることによって得られる何らかの役に立つととらえられる結果。特に、経済活動によって得られる結果を指す。
そっと辞書を閉じたくなる長さですね。大人のような抽象的な理解が出来るなら良いんですけど、中学生にはちょっと重いでしょう。
2.中学生用の電子辞書はコスパが悪い
あまり家電量販店では見かけませんが、ネットでは中学生用の電子辞書も売られています。実際に購入した生徒のものを使ってみたことはありますが、コストパフォーマンスが悪いので改めてオススメはできません。
中学生用は高校で買い換えになる
中学生用は表現も難しすぎず、ちょうど良いあんばいになっています。また、中学生の勉強に役立つツールも収録されています。単語カード機能とか、なかなか面白くて好きです。
ただ、あまりに中学生に特化しすぎて、高校生にはふさわしくありません。デザインも過剰にポップですし、収録されている辞書は高校生用の方が充実しています。
結局高校に上がるタイミングで買い換えになってしまうことが多いようです。1台3万円くらいしますから、軽い負担ではありませんよね。
3年間使えば元が取れる、というなら良いですが、高校生用のコスパとは比較になりませんからね……
高校用は大人も使える
高校生になったタイミングで購入した電子辞書は、正直(壊れない限り)いつまでも使えます。
参考書のたぐいは完全に無駄になってしまうでしょうが、よく使う国語辞典と英和・和英辞典の質が高く、大学生、社会人になっても活躍してくれることでしょう。
だから、高校生になるタイミングで買えば一番コスパが良い!ということなんです。最低でも高校・大学と使い続けることができますから、7年間のおつきあい。これだけ使われれば電子辞書も本望でしょう。
3.英和辞典の使い道があまりない
たぶん電子辞書で最も使う機能は「英和辞典」だと思います。そもそもなんですが、中学生は英和辞典を使う機会が非常に少ないんですね。
まず、中学生はあまりシビアに語法を学ぶ必要がない。文法用語の知識があまり無い。1つの単語に複数の意味が登場すると逆に混乱する。こういった原因で、辞書を引くとなおさら分からなくなってしまうことがあります。
中学生たちにとっては、「教科書のさくいん」の方が単語の意味を調べるには便利ですよね。辞書を引いて悩まないといけない問題自体が少ないので、一般的なレベルの中学生は使わなくてよいのでは。
僕も英和・和英を両方とも持っていました(当然紙です)が、あまり使った記憶はありません。せっかく中学生用を両方持っていたのに、高校では使い物にならなくて両方買い換えになりました。机のオブジェにしておくのはもったいないですね。
まあ、僕が活用出来てなかっただけというオチかもしれませんが……
4.中学生用の参考書の方が安い
電子辞書には、辞書以外に役立つ参考書がたくさん収録されています。
高校生ですらあまり活用出来ている子がいないのに、中学生が積極的に使うか?と言われれば、まあ使わないでしょうね。
もし使うとしても、高校の参考書と比べて中学校の参考書はお手頃価格ですので、使う分だけを選んで買った方が圧倒的に安いです。
もちろん電子辞書は持ち運びが可能というメリットはありますが……通学途中に電車でチェックができる高校生とは違い、通学が徒歩である中学生たちが利用する機会はまずありません。
5.どうせ学校では使えない
高校では電子辞書を授業中に使っているのが当たり前の光景。先生も当然黙認しています。むしろ推奨しているのでは?
ただ、中学はそうではありません。そもそも授業中に使う生徒がほとんどいないでしょうが、僕の知る限りでは使えない学校が多数です。
電子辞書は学校に持って行かれるのが最大のメリットなのに、家でしか使えないなら紙の辞書で充分。やはりどうにも使いどころがないのです。
まとめ
中学生にはコストの面でも、実用性の面でも、さほど必要とされない電子辞書ですが、高校生にはマストで必要です。
中学生のうちは教科書や参考書で調べることに慣れた方が、読解力の向上という意味でもメリットが大きいので、やはり電子辞書の出る幕はありません。
もし中学校に入るとき電子辞書を買うかどうか悩んでいる親御さんがいれば、それは3年後でいいです!と言わせて頂きたいところです。
ま、完全に時季外れですけど(現在ハロウィン間近/笑)。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
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