小学生限定で活躍する文具代表、それは「分度器」。小4で初登場して、小6で役目を終えて退場する、はかなき文具です。まあ、中学生は使わないしね。

だから保護者の方も軽視しがちです。とりあえず使えれば何でもいいじゃん?と言わんばかりのチョイスを目にします。

僕はたびたびブログで書いていますが、「良い文具は人を変える」がポリシーです。

道具が適当で良い成果など期待出来ません。初心者でも使いやすく、丈夫で、見た目も美しく使いたくなる文具。これがモチベーションを上げるのです。

今回は、だーれも気にしないとてもニッチな「分度器」に切り込みたいと思います。

使いやすい分度器とは

使いやすい分度器の条件をあげていきます。大事な順番に説明をしていきますね。

僕の手持ちは5枚だけですが、比較するには充分な量だと思います。これらを使って解説していきましょう!

この記事のために近所で買いあさった5枚

1.中心が見やすい

分度器は角度を測るときも角を書くときも、必ず中心に合わせる作業があります。

だから、中心の見やすさは生命線なのです。

中心の配置は主に2パターンあり、分度器の中心より下に3~4mmのスペースがあるもの(これが主流)と、まったく無いものがあります。

中心が見えやすいタイプの分度器

中心が見えやすいタイプ

このタイプは真上から見たときに邪魔をするものが無いのでたいへん見やすいです。

最近増えてきたのがスペース無し、分度器の下端がそのまま中心や0度になっているものです。

スペース無しの分度器

この角度からだと中心が見やすい

これは真上からより、下からのぞき込むようにして合わせるとやりやすいですね。

中心に余計なものがあると使いづらい

ところが、某100均で買ったこちらの分度器をご覧ください。

某100均の分度器

某100均Dで買ってきた1文具セットの一部

なぜそこにくぼみをつけた。

くぼみが邪魔している

おわかりいただけただろうか、くぼみで線が歪んでいるのを

このくぼみのおかげで、肝心の中心に近づくと線が歪みます。もはや嫌がらせか何かの修行でしょうか。僕でも書きづらいので、小学生にはハードモードすぎでしょう。

番外編:中心が無い

どこで手に入れたのか謎すぎますが、ときどき中心が書いていない分度器を使っている子がいます。

僕らのような塾の場合、遠慮無く保護者に言ってちゃんとしたものに交換してもらうのですが、学校の先生はケチをつけるように感じられたら嫌なんで、そこまで言いづらいですよね。

もう10年も前の話なので書いちゃいますが、とあるご家庭では名前シールを中心にドン!と貼ってありました。分度器そのものはマトモなものでしたが、シールのおかげで全く使いものになりません。

ぜひご家庭で気をつけてあげて欲しいですね。

2.適度な大きさ

小学生のノートはさほど大きくありませんので、彼らには「学童用」が適しています。だいたい10cm以下の大きさが良いでしょう。

僕は製図用の分度器を使っています。

製図用分度器

なんと360度まで測れてしまうチート性能

でも、たまに忘れ物をした生徒に貸すとクレームが来るんですよね。

「先生、これはみ出ちゃうんだけど……」

そりゃそうでしょう。ノートなんかよりもっと大きな紙で使うのが前提の大きさですから、小学生のノートだとこんな感じになってしまいます。

大きい分度器の弊害

ヘタをするとテキストからもはみ出る大きさ

変に背伸びして高くて大きな分度器を買うのではなく、文具店で普通に買えばハズレは(ごく一部しか)ありません。

ん?なんで製図もしないのに僕が製図用の分度器を持っているのかって?そりゃ変に背伸びしたからに決まってるじゃないですか……

3.内側にもメモリがある

分度器はご存じの通り両側に0があるため、左を0にしたときは外側のメモリを、右を0にしたときは内側のメモリを読むことになります。

最近は間違えにくいように色分けされている分度器が登場しました。使い方に慣れれば、たいへん読みやすくなります。

スペース無しの分度器

個人的にはあまり好きじゃない2色分度器

まあ、若干過保護な感じが僕は好みじゃありませんけど。

ところが、主に100均で売られている格安分度器だと、内側のメモリが省略されているものが多いんですよね。

確かに内側はスペースがせまく、1度ずつのメモリがあっても正直読めません。だから5度ずつのメモリになっているくらいならいいんです。

でも、下の分度器をご覧ください。

細かいメモリのない分度器

文具セットの分度器に多いザックリ目盛り

まさかの10度ずつ。これでは65度のような角度はカンで読むことになってしまいますね。さすがにこれは雑すぎますので、せめて5度ずつのメモリがあるものにしましょう。

4.薄い

定規全般に言えることですが、厚さは薄い方が正確に書きやすいです。

分厚いと手元が非常に見えにくくなります。また、重箱の隅をつつくようですが、厚みがあるほど屈折して本来の位置からズレて見えます。

用意した5枚はそこそこな薄さだったので問題ありませんでしたが、たまーに生徒がどこで買ったの?と言いたくなるような極厚の分度器を使っているのを見かけます。

どれも同じような厚さに見えますが、実は結構違います。

厚さの違い

想像以上に差があると思いません?

学用品と製図用ではかなり厚みが違うのが分かると思います。

厚いものでも真上から見れば問題ありません。ちょっと斜めから見るとそこそこズレますので、出来るだけ真上からのぞくようにするといいですよ。

5.端が角ばっている

分度器の端が角ばっているものを使いましょう。理由は簡単、つかみやすいからです。

分かりやすい映像を撮りました。僕が5枚の分度器を順番に持ち上げていくだけの動画です。

3枚目までは普通の分度器ですが、最後の2枚は格安の分度器です。この2枚、なぜか端が薄くなるように処理されているんですね。

確かについさっき「薄い方が良い」と書いたばかりなんですが、これはダメ。薄いだけでなく角が丸くなっているので、持ちにくいことこの上ありません。

動画を見れば分かると思いますが、最後の1枚なんて掴めないどころか机の下に吹っ飛んでしまい、たいへん切ない気分になりました。

一方僕の私物である製図用分度器は、薄くても角ばっているため、多少つかみやすくなっています。こういったところに使いやすさが表れてくるんですよね。

まとめ

文具を一式集めるには少なからずお金が必要ですので、ついつい100均を利用したくなるかもしれません。でも、100円で買った格安文具セットと300円の普通の文具セットでは、使い勝手がまるで違います。

分度器に触れたばかりの小学生が、その使いにくさのせいで作図が上手くいかない。こうなってしまうとやる気など簡単に吹き飛んでしまいます。

「良い文具は人を変える」

僕が提唱しているのはこの点です。使いやすい文具はモチベーションを上げてくれますし、成績そのものにも影響します。

ぜひ文房具屋さんで使いやすい分度器を見つけてください。小田原にお住まいなら下の記事の3店舗はオススメですよ!

どこよりも詳しい小田原の文房具店レビュー!大型3店舗を徹底調査

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。