「教科書は最良の参考書」なんて露ほども思っていませんが、勉強をするには避けて通れないコンテンツではあります。

今やフルカラーは当たり前、紙面も大きく絵もキャッチーで、かなり読みやすくなっています。英語の教科書にはQRコードもついて、英文を全て音読してくれるという豪華っぷり。

しかし、未だ教科書は中学生にとって読みやすいものではありません

にもかかわらず、テスト前になると教科書を広げて読み始めるんですよね。この、教科書を読むという勉強と言えるのか微妙な行動について、今回は掘り下げてみます。

まずは結論から

教科書を読むなら、授業の前後に読むのが最も効果的です。

また、8割くらいを目標にする人やその科目が苦手な人はテスト前に教科書を読むべきではありません。8~9割以上を狙う高レベル帯の人ならテスト前に教科書を読むのはオススメなんですが……。

では、1つずつ掘り下げていきましょう。

教科書は授業前後に読もう

教科書はどこまでいってもインプット、つまり頭の中に情報を入れるためのものです。

最もインプットに適した時期はいつか、それは授業の前後でしょう。

高得点帯の子の中には、学校の授業前に教科書を読んでくる子がいます。これから行う授業でどんな内容を取り扱うのか、あらかじめ知っておいた方が授業がはかどります。

中には教科書を配られた直後にどんどん読み進めてしまうような人もいるんですよ。知的好奇心の塊ですね。僕も大好きな理科はそうでしたね。嫌いな科目は開きもしませんでしたが。

また、学校の授業で教わった内容を振り返る意味で、授業のあった日に教科書を読み返すのも効果的。どちらにせよ、何の脈絡もないタイミングで教科書を見たところで得られるものは少ないということです。

テスト前に教科書を読んでも意味ないケース

テスト前2週間を切ると、教科書の出る幕はほとんどありません。そんな中、ほとんど勉強の効果が無い教科書の利用法が2つあります

1つは、テスト前なのに大事なところを教科書で確認しようとしているパターン。

実は、教科書って大事なところがまとまっているテキストではありません。骨になる知識に至るまでの過程なり、そこから派生した知識なり、さらに発展的な内容を知るためのものです。基本的に苦手な子に役立つ情報はほとんどありません

ところが、デキない子ほど教科書を読もうとします。まあ、教科書を読んでいる雰囲気を出せば凄く勉強している感が出るので、本人的にも満足なんでしょうけど……。

これは全くと言って良いほど効果がありません。

理科の教科書を例に取ってみます。下の画像は理科の教科書イメージ(笑)です。

あくまでイメージと言い張っておきたい

じゃあ、その科目が苦手な子はどこを読んでいるか。視線の先を可視化してみましょう。

視界せまっ!

うん、無意味でしょ?

せっかく教科書を読んでいるというのに、実際に目が行くところはわずかな要点のところ。これなら学校の先生がまとめて下さった板書を写したノートを見た方が1000倍役に立ちます。

もう1つ効果のない教科書の使い方は「問題集を解きながら読む」です。

これについては記事を書いています。そちらで死ぬほど詳しく解説しておりますので、ご覧下さい。

ワークは本当に何も見ないで解くの?勉強法の質問に答えてみました

テスト前に教科書を読むべきケース

では、テスト前に教科書の出番は無いのでしょうか?大多数の人には無いと言えるでしょう。

しかし、9割を越えるような高得点を狙うなら話は別。この場合基礎的な内容は既に身についており、一通りの典型的な問題は解けるようになっているのが前提です。

最後の最後、何で差がつくかというと、重箱の隅をつつくような知識であったり、本質的な理解の深さだったりします

これらを学ぶのにベストなのは、教科書なのです。

では、デキる子が教科書を読むときの視線を可視化してみましょう。

本文に書いてある事なんぞ既に知っている

ということで、先ほどとは真逆。

実は教科書にはかなりハイレベルな内容も載っています。授業で取り上げるのをためらう先生もいらっしゃるくらい、万人向けではないレベルです。

このようなレベルの高い内容も身につけておきたい。これが高得点への道です。

他にも実験の結果だけではなく「ねらい」「注意点」などもチェックしておくべきポイントです。

教科書は基礎の定着では無く、実はトップ層にとって貴重な情報源なのですね。

さらに効果的な教科書の読み方

自宅限定ではありますが、教科書を読む際「黙読」より「音読」の方が入ってくる情報量の密度が大きくなります

これは上位層というより、中堅層以下の子にオススメです。

実は黙読だと文字の上を視線が滑るかのように進んでしまい、結局何も残っていない事が起こりえます。

文字に対するアレルギーがあるならより顕著ですね。これではいくら読んでも意味がありません。

これが音読なら、少なくとも言葉に出す際一字一句全ての言葉が脳を通過するので、最低限「全ての文字を読む」ところはクリアできます。

普通の中学生の場合、細かくチェックをしてみるとビックリするくらいみんな読み飛ばしています。読み飛ばさないだけでも効果がアップしますから、だまされたと思ってやってみて下さい。

音読と言っても国語の発表のように格好よく読む必要はありませんので、ボソボソ読みでもいいですよ。

まとめ

教科書って万人に向けたものですが、実際に活用しようとすると意外と難しい面があります。

教科書が分かりやすいものなら、学校の先生は自分でプリントを作って説明したりしませんよね。特に中・下位層に対して非常に不親切なつくりをしていると感じます。

でも、適切な使い方とタイミングを間違えなければ、得点力をアップさせる原動力にも、最後の切り札にもなり得るのが教科書です。

くれぐれも教科書を読んでるだけの「エア勉強」にならないよう、気をつけて下さいね。

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。