先日生徒から質問のような相談を受けました。
「先生、音楽を聴きながら勉強するのはダメですか?」
ときどき同じような質問を受けるので、だいたい僕の答えは固まっているのですが、せっかくなのでブログにまとめておきましょう。塾界隈でもみなさん同じ意見ぽいですけどね。
目次
音楽を聴きながら勉強してよいのか
長々語りたいところをグッと堪えて、結論からいきましょう。
「まあ、やめとけ」
これに尽きます。音楽を聴きながら勉強するのはやめた方が良いです。
とまあ、ハッキリ結論を書いておいてアレなんですけど、僕自身はゴリゴリに音楽聴きながら作業する人種なんですよね。
小学生のときはテレビの横で勉強してましたし、中学生からは自室で音楽を聴きながら勉強。受験期には深夜ラジオを聴いてました。
じゃあ賛成派じゃね?と言われそうですが、自分のことを棚に上げて「やめとけ」と言いたい。
音楽を聴きながら勉強する問題点
音楽を聴きながら勉強するのは大きな問題点があります。
無意識に意識を向けてしまう
無意識なのに意識とはなんぞ、と思われそうですが、コレが最も恐ろしい点だと思います。
例えば、テレビの横で勉強してたら思わずテレビを見ちゃうじゃないですか。
これなら明らかに意識を持ってかれているので、誰でもマズいことが分かります。まあテレビの見える範囲で勉強するのがおかしいんですよ。
でも、音楽を聴きながら勉強していると、常に勉強している内容とは全く関係の無い情報が入り続けている状態になります。勉強している横で誰かが延々と関係ない話をしているのと同じ。めっちゃウザい。
聴いていないようで聴いてしまうんでしょう。気がつくと指でトントンリズム取ってたり、足が動き出したり、どう考えても集中できていませんよね。
ところが当の本人はそんな意識もなく勉強をし続けているので、とても勉強が上手く進んでいるように感じてしまう。この無自覚さが怖いのです。
音楽が無い状態を比べると、音楽を聴きながらやる勉強はどう見積もっても脳に入るノイズの分だけ実際の効果は下がっていると思います。
繰り返しますが、僕はずーっと音楽を聴きながら勉強から何から色々やってたのですが、ふと思うんですよね。
もし自分が音楽を聴かずに勉強してたらもっと結果を出せたんじゃないか、と。
たらればですけどね。
音楽を聴きながら勉強するメリットを無理矢理探してみる
「そんな事書いてるおまえはなんで音楽聴きながらやってたんだよ」と突っ込まれそうなので、音楽を聴きながら勉強するメリット面にも無理矢理触れておきます。
集中できる(気がする)
自宅が集中しやすい環境なら申し分ないのですが、中には残念ながら勉強に適した環境では無いこともあります。
例えば家に小さい子がいる場合。子どもの騒ぐ声の中勉強しろというのは無茶もいいところ。とはいえ小さい子どもに黙っていろというのも理不尽です。そんなことしたらその子の将来も心配。
こういった場合、音楽をヘッドホンで聴くことによって雑音をシャットアウトして、自分の世界に没頭できるようになるかもしれません。
ただ、やはり音楽そのものが邪魔になる可能性が高いので、耳栓で十分なのですけど……
また、音楽を聴きながら勉強をしているとき、ふと気がつくと音楽のことをすっかり忘れて完全に勉強へ集中していることがあります。ま、気がついたということは集中が切れてしまった証なんですけどね。
これを僕は勝手に「ゾーンに入る」と呼んでいます笑
音楽も気にならないくらい集中できた喜びを感じますよね。
ただし、それは同時に音楽が邪魔なものである何よりの証拠でもあるんですけど。本末転倒とはまさにこのこと。
気分が上がる
なかなか勉強が手に付かない一般的な中学生ですが、音楽があることによって重い腰が上がるかもしれません。
僕の勝手な感覚かもしれませんが、なんとなく「勉強する」というより「音楽を聴くついでに勉強する」くらいの方が勉強を始めやすいんです。ハードルが低くなる感覚です。
もちろん勉強をしないよりは音楽を聴きながらでも勉強はした方が良い。だからきっかけ作りとしてはアリだと思います。
それなら音楽を聴いて気分を上げてから音楽を止めて勉強に移ればいい話なんですけどね。
勉強は始めてしまえばやる気がじょじょに沸いてくるもの。音楽をきっかけに勉強を始めて、始まったら音楽はいりません。起爆剤としては優秀だと感じます。
もしどうしても音楽を聴きながら勉強したい人は
僕のような音楽中毒者には何を言ってもダメです。もう音楽を聴かないと勉強ができない病気なので、聴きながら勉強をすることを前提に、どんなものならOKかを探ってみます。
動画は絶対にダメ
Youtubeやtiktokなどの動画をBGMにして勉強するのだけは絶対にダメです。音楽の比じゃ無いくらい意識が持って行かれてしまいます。
もはや勉強している時間が全てムダになるレベル。というか、そもそも勉強自体全く進まないと思います。
百歩譲って音楽の動画に限って画面をOFFにして流し続けるなら良いかもしれませんが、バックグラウンド再生ができる中高生ってめったにいないでしょうね。有料会員限定の機能ですし。
僕は大人なので利便性をお金で買います笑
インプット中はダメ
さすがに音楽は暗記のようなインプットと相性が悪すぎます。
暗記をするときはできるだけ5感をフル活用します。味覚は無理ですけど、目で見て、手で書いて、声に出して、その音を聞いて、あらゆる刺激を駆使して記憶に焼き付けるのです。
そんなとき強大な聴覚を占領されるんですよ、音楽に。これは明らかに効率が悪い。
問題を解いているときならまだマシでしょうが、暗記中に音楽を聴くのは絶対にやめましょう。
余談ですが、音楽と結びついた記憶は強固です。決まった音楽ばかり聴いている時期があると、音楽を聴くことで当時の記憶がフラッシュバックすることがあります。
ただ、テストのときに音楽を流すわけにはいかないので、全くのムダ機能です。
聞き慣れた音楽を選ぼう
音楽に意識が持って行かれない方法として、さんざん聞き慣れてむしろ聞き飽きた音楽を流すのが良いでしょう。
これも完全に経験則ですが、買ったばかりの新曲を流しているときは勉強になりません。意識を向けるなというのが無茶というもの。そりゃ新曲の方が気になってしかたないでしょう。
洋楽を流すと良い、なんて意見も聞いたことあります。これは個人差があります。
普段洋楽を聞き慣れない人なら英語だから聞き流すことができる、という算段でしょうが、普段聞き慣れないものを聞いてもテンションが上がりはしないので、役目を果たしません。
また、僕のように邦楽を一切聞かなかった洋楽ジャンキーには逆効果です。
さらに、ボーカルの入っていないインスト曲も良いという意見もちらほら。もはやBGMですが、無音が耐えられない人にとってはいいかもしれませんね。
僕も高校生のとき試してみました。当時流行していたEnyaを友人から借りて勉強のとき流しましたが、癒やされすぎて眠くなるので1回しか聴いていません。
まとめと余談
やはり音楽を聴きながら勉強するのはデメリットが多すぎて賛成できません。
勉強のような頭を使う作業中は、基本的に無音が良いでしょう。
勉強をしているときは無音で頑張り、勉強が終わって好きなことをできるようになったタイミングで、ご褒美とばかりに好きな音楽に浸る。これが理想的ですよ。
よほど特殊な事情があるか、習慣になりすぎて落ち着かないレベルになってしまった場合を除き、音楽を聴きながら勉強するのは避けておくべきでしょう。
以下余談。
この記事は仕事が終わった後、まさに音楽を聴きながら書いています。ながら作業歴30年以上のキャリアを誇る僕なのでこれくらいは朝飯前ならぬ夕飯前(お腹すきました)です。
ちなみに毎日午前中は延々動画を見ながら炊事や洗濯や掃除をしています。おかげでスクリーンタイムがえらいこと。動画を見ながら手を動かしていると勝手に作業が終わっていくので、楽なんですよね。
こういった頭を使わないことならいいんですけど、仕事中に音楽を聴く気にはなりません。無理です。
まあ、それが答えなんですよ。勉強の効率を最大限に上げたければ、くれぐれもご注意下さいね。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
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