受検生のみなさま、および保護者のみなさま、そして倍率マニアのみなさまこんにちは。本日2/1は神奈川県公立高校入試の出願締切です。
近年SNSでの倍率探し合戦は混迷の様相を呈しており、いち早く倍率を知りたい受検生や保護者の方が懸命にリサーチをしている様子がうかがえます。
もちろん早く知りたい気持ちはよーく分かります。問題は自分の受ける学校とは関係の無い学校の情報まで調べ、あげくに友人へ流している熱心な子です。
仲の良い友だちへ情報を伝えてあげたい優しさは、下手をすると集中して勉強をしている空気を壊すことになりかねません。自分の倍率を確認したら、すぐ受験勉強へ戻りましょう。
倍率は神奈川県のHPで公表されています。
⇒令和4年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等志願締
切時志願状況
ということで、今回はエコール学院のある県西地域の状況を中心に分析をしてみようと思います。あくまでウチの学院生の参考になれば良いと考えて書いているだけですので、「出身はどこ?」と聞かれて「神奈川」ではなく「横浜」とか言っちゃう都会の人たちは他の方の記事をご覧下さい。
目次
旧トップ校
学校 | 定員 | 2/1出願者 | 2/1倍率 | 昨年度最終倍率 |
---|---|---|---|---|
小田原 | 318 | 432 | 1.36 | 1.32 |
平塚江南 | 318 | 384 | 1.21 | 1.13 |
秦野 | 358 | 403 | 1.13 | 1.13 |
旧トップ校は小田原高校の人気が突出しました。出願者は平塚江南と実に50名近くの差があります。とはいえ小田原が人気になる要素は特に無いので、地元の伝統校強し、ということなのでしょう。
一方秦野はというと、ザ・例年並み。基本的に毎年高くもなく低くもなく良いバランスの出願者を集めています。
この状況では、小田原高校から多少の志願変更が出るのは間違いありません。順当にレベルをゆるくするなら秦野へ変更となりますね。
ただ、僕はさほど小田原の倍率は下がらないのではないかと予想しています。ここ数年私立専願の子が増えていることもあり、私立進学に対するイメージが変化しています。ダメなら私立、と腹をくくって勝負に出る子が少なくないはずです。
上位進学校
学校 | 定員 | 2/1出願者 | 2/1倍率 | 昨年度最終倍率 |
---|---|---|---|---|
西湘 | 348 | 326 | 0.94 | 1.21 |
大磯 | 278 | 306 | 1.10 | 1.10 |
伊志田 | 268 | 293 | 1.09 | 1.08 |
西湘高校がまさかの定員割れを起こし、ついに県西は小田原を除きほぼ定員割れとなってしまいました。
いわゆる暫定倍率の時点で予想されていたことですが、1クラス定員が増えたのに対して出願者が減ってしまったので定員割れやむなし、といったところでしょう。
さて、問題はこのあとの志願変更の動きです。
おそらく定員割れは回避できるでしょう。昔の人の認識だと「小田原の次は西湘」となってしまうため、なぜか小田原から西湘へ志願変更する人が一定数います。西湘を受けようとしている受検生からしたらたまったものではありませんが、もともと戦うライバルは彼らではなく同レベルの子たちですからね。
さらに定員割れを起こしているとなれば、茅ヶ崎レベルからのワンランクアップも現実的になります。
大磯や伊志田の倍率が高くないことを考えると、その2校からの流入はあまりなさそうです。ギリギリ1倍を超えて定員割れを回避するのが妥当なところだと予想します。
普通科高校
学校 | 定員 | 2/1出願者 | 2/1倍率 | 昨年度最終倍率 |
---|---|---|---|---|
足柄 | 238 | 202 | 0.85 | 0.91 |
茅ヶ崎 | 278 | 339 | 1.22 | 1.15 |
秦野曽屋 | 278 | 251 | 0.90 | 0.95 |
山北 | 198 | 183 | 0.92 | 0.87 |
小田原東 | 118 | 100 | 0.85 | 0.85 |
茅ヶ崎は県西地域から通う子が結構多いので仲間に入れていますが、こうしてみると茅ヶ崎がやけに高倍率に見えてきます。実際のところ1.2倍くらいが普通なのですが、県西の倍率が低すぎて麻痺をしているだけです。
この定員割れ現象が続くのは思ったより深刻で、ラッキーと考えている受検生が多い一方で、実際に進学してからのデメリットが大きくなります。入口が楽な分出口が厳しいというわけです。
さて、もちろん志願変更のことも考えなくてはいけませんが、地域全部が定員割れをしているわけですから、外部からの流入が無い限り定員割れ解消とはいきません。
そこは県西ですから、平塚・秦野方面からの流入は期待できません。今年もほぼ全校が定員割れという状況になる公算が高いですね。
専門科
学校 | 定員 | 2/1出願者 | 2/1倍率 | 昨年度最終倍率 | |
---|---|---|---|---|---|
小田原東 | ビジネス | 118 | 96 | 0.72 | 0.86 |
秦野総合 | 総合 | 238 | 190 | 0.80 | 1.14 |
小田原城北 | 機械 | 78 | 56 | 0.72 | 0.62 |
建設 | 39 | 40 | 1.03 | 0.45 | |
電気 | 78 | 40 | 0.51 | 0.64 | |
デザイン | 39 | 35 | 0.90 | 0.50 | |
吉田島 | 都市農業 | 39 | 36 | 0.90 | 1.05 |
食品加工 | 39 | 37 | 0.89 | 0.89 | |
環境緑地 | 39 | 35 | 0.39 | 0.39 | |
生活科学 | 39 | 42 | 1.08 | 0.95 |
昨年思いもよらない高倍率だった秦野総合は、定員を増やしたはいいものの出願者は減るという西湘高校と全く同じ状況になり、定員割れを起こしました。これも全く予想通りです。
実は城北工業や吉田島は定員割れではあるものの、昨年の状況より改善している傾向にあります。城北工業の建設は昨年の超低倍率から一転、定員を超えました。他の学科が定員割れをしているので、学科変更が起こって定員を下回る可能性があります。
吉田島の生活科学は堂々の定員超え。僕は学校見学に行く機会があったのでおじゃましたのですが、大学のキャンパスかと見紛うばかりの素晴らしい施設に驚愕しました。学校見学でアレを見せられたらそりゃ人気も出るってものです。
まとめ
この倍率を元に志願変更を考える人もいるでしょう。最後まで目標の志望校を貫くことも立派だと思いますが、志願変更をしても、それは自分の実力を客観視して下した英断です。
ただし、この地域に限っては軒並み倍率が低いので、志願変更を考えるケースは稀でしょう。
となれば、もう倍率を考えても意味がありません。受検生のみなさんが考えることは「少しでも高い実力を身につけて進学する」ことのみ。
目指すは昨年の合格者平均点。これがクリアできればたとえ倍率2.5倍超えの横浜翠嵐であっても合格します。そして、高校に入る段階の学力も問題ありません。
残り2週間、全力で駆け抜けましょう。
蛇足ですが、定員割れを起こして「やったー!これで絶対受かるじゃん!」とのんきなことを考えている受検生は下の記事を読むことを全力でお勧めして終わりたいと思います。
この記事を書いた人
- 指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
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