そろそろ小学校6年生も、中学への進学を意識して準備をしている頃だと思います。

まあ、何の準備も無しに中学校へ上がって、普通に予習復習をこなし、普通に試験前にはテスト勉強に取り組み、普通に成績を維持し、普通に部活動も頑張っていくなんて

普通は無理

ですからね。

保護者が「普通」と考えていることは全然「普通」にこなせないですし、「そんなの当たり前に私はやっていたよ」という保護者の方は、当たり前レベルの高い「普通以上の子」だったと思います。

小学校のうちに身につけておきたい勉強習慣などは色々ありますが、今回はひとまず「勉強の内容で身につけておきたいこと」にフォーカスします。私が国語について語り始めるとやたら長くなりますので、算数についてまとめますね。

小学算数で最も身につけたい計算

とりあえず、整数の足し算・引き算・かけ算・割り算は出来るのが前提とします。これが出来ない状態で放置している保護者の方はいないと祈りましょう。

分数の計算は超重要

中学校の数学や理科において、最も大きく差が付くのが分数の計算です。

その中でも、大きく分けて4つのスキルが身についているか、チェックしたいところです。

1.約分ができるか

小学生を見ていると約分が苦手な子を多く目にします。

約分が出来ない子はまれですが、メチャクチャ遅い子が多い。中学校では約分が必要な計算が大量にあるので、いちいち約分で詰まっていてはスピード面で大差がついてしまいます。計算スピードは数学において生命線ですからね。そう、算数以上に。

最低限の目標としては、偶数を見た瞬間に2で割ろうという発想に至ること。それすら覚束ないようだと、ほぼ確実に数学は低迷します。

できれば3で割れるかどうかの判別法は知っていて欲しいところですが、塾に通っていないと知る機会がないのが痛いですね。

2.整数+分数ができるか

中学生の半数が苦手とする(体感です笑)「整数+分数」の計算。

もうね、出来る出来ないの次元を超えて、見た瞬間フリーズするレベルなんです。

コツは整数の部分の「分母に1を書く」だけ。分数と分数なら通分する事が出来るので、何とか解き進めることができるようになるでしょう。ちょっとしたことなんですけど、不思議ですね。

ちなみにこの計算、中2の1次関数で連発しますので、覚悟しておいて下さい。

3.割り算を分数に直せるか

小学校5年生で習うのですが、3÷2を3/2に直す計算です。

これ、習ってはいるものの使いこなせている小5・6年生はほぼ皆無。私も使っていた記憶がありません。

なぜなら、習ったとき誰も大事だって教えてくれないからです。

ところが、中学校に入ると割り算を分数に直す変形が分かっているかどうかでその子の明暗が分かれます。特に文字式に入るとそれは顕著です。

また、ちょっとした計算の工夫にも役立ちます。特に理科の場合これでもかというほど割り算が出てきますので、次の例のようなテクニックを使いこなせるとかなり計算が楽に速くできます。

例えば、12÷25の計算。

12÷25の解説

25×4=100を上手く使えばほぼ暗算で解けます。

そして、9.6÷12.8のような小数の計算も……

9.6÷12.8の解説

分数にして約分するだけで、かなり計算が楽になりますね。

割り算を分数で表す習慣がつくと、ご覧のように計算力が格段に上がりますよ。

4.帯分数に直せるか

帯分数なんて小学校のウチしか使わない、私もかつてはそう思っていました。

実際には、帯分数を忘れてしまって「使えない」人が大半なんですよね。

帯分数は活躍の場がせまいものの、「時間」の計算で目覚ましい大活躍を見せます。逆に、帯分数を使わないで時間の計算をするとなると、なかなか面倒くさいことになりますからね。

そんな便利な帯分数なのですが、年々肩身が狭くなっています。小学校でも答えを帯分数に直さず仮分数で良いことになっていますので、そもそも習ったとき以外使わない、というケースが多そうです。そうするとあっという間に忘れてしまいますから、先々のことを考えても、小学生を卒業する前に身につけておきたいですね。

小数の計算は重要度がやや低い

分数の計算に比べると、小数の計算はあまり重要ではありません

理由は簡単で、分数の計算と比べて手間が大きいから。それについては詳しくこんな記事を書きました。

まだ小数で計算してるの?計算を速く正確に出来るのはアノ方法です

それでも全く小数の計算が不要ということはありませんし、小数の計算を分数の計算に持ち込むには、そもそもある程度の計算力が必要なので、根本的に算数が苦手な子には若干ハードルが高いですからね。

では、小数の計算について小学校のうちに確実に押さえておきたいポイントは何でしょう。

1.小数の割り算ができるか

ダントツでこれ。数学で使う機会は正直ほぼありません。小数の方程式は小数のまま解く事はありませんし、正負の数の計算でまれに登場するくらいです。

問題は理科です。理科は割合の計算がメインですので、どうしても割り算から逃れられません。しかも実験器具で測定した値はほとんどが小数なので、小数の割り算の登場頻度がメチャメチャ高いというわけです。

もちろん小学校で習った小数の割り算を全てマスターしているにこしたことはありませんが、実際のところ「小数の割り算の答えを四捨五入する」計算がほとんどです。記憶からすっ飛びやすい小数の割り算で「あまりを出す」ことは皆無ですので、きっと小学校を卒業したら次に触れるのは自分の子どもが小学校5年生になるときでしょう(笑)

小数で割る計算をする際に小数点を動かすルールがありますよね?あれさえマスターしていれば、あとは普通の割り算です。最低限それが出来る状態で小学校を卒業して下さい。

2.整数ー小数ができるか

間違えやすい問題として、2ー1.52のような計算が挙げられます。これを平気で1.52としてしまう小学6年生は、中学へ上がる前に必ず復習しておきましょう。

小学校6年生の親御さんは、お子さんに「2ー1.52」をやらせてみて下さい。ここで筆算の形で出題しては意味がありません。要は200ー152と同じような計算になることを自分の頭で判断できるかどうかをチェックしたい訳ですから、横書きの状態で出題しましょう。

ちなみに、やはりこの計算も理科でよく使う計算です。数学はなんだかんだ言ってほとんどが分数計算なんですよね。私は理科大好き人間ではありますが、小数の計算だけは憂鬱になります。ま、電卓使いますけど(大人ですから)。

まとめ

ちょうど入試対策真っ盛りの中3に言ったことですが、「結局は計算力がないと点は取れない」というのは真実です。

数学の難しさはもちろん式を立てるところですが、せっかく立てた式も速く、正確に最後まで解けなければ得点に繋がりません。私の指導している中3生たちも、三平方の定理の式を作ったはいいものの、現時点では計算が遅く、ちょっとした空間図形の問題を1問解くのに軽く3分とかかってしまいます。それでは制限時間のある入試では戦えません。まだまだ徹底した反復が必要ですね。

これから中学校に上がるにあたり、先取り学習ばかりに目が行っている小学生・保護者の方が多いようですが、それと併行して「小学校で身につけておくべきスキル」を復習しておくのは負けず劣らず重要な事だと私は考えています。

全4回に分けてそんな内容を紹介していこうと思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

他のシリーズはこちら。
第2段 文章題編Part1
第3段 文章題編Part2
第4段 図形編

この記事を書いた人

富田 靖之螢田教室・板橋教室責任者
指導歴20年の理系担当講師。
Twitter始めました。ブログは長文、それ以外はTwitterで情報を発信していきますので、よろしくお願いします。