授業合間、休憩時間の一幕。

「君ら、学校の宿題ってどんくらいでてるの?」

「ゼロ」

「・・・・・・ゼロ?」

「ゼロ」

「たまに授業中に終わらなかったプリントや理科のレポートなんかが出されるけど、基本的にはゼロ。」

「ホントに?」

「ホントに。」

衝撃でした。

学校の宿題、まさかのゼロ。

その日教室に来た他の学年の生徒に確認を取りましたが、どうやら事実のようです。

軽いカルチャーショックを受けました。

(もしかしたら彼らが宿題を宿題として認識できていない可能性がなくもないですが・・・。)

宿題は必要?or不必要?

小学校では毎日宿題が出され、学年×10分の自主学習をするように言われているのがほとんどです。

その上、宿題や自主学習をきちんとやっているか保護者のチェックすら必要なところもあります。

賛否はあるでしょうが、学習習慣を身につけるという目的のもと行われている点で僕個人は良い取り組みだと思います。

その日学校でどんなことをやったか、自主学習でなにを扱っているかチェックすることで頭のなかものぞけますしね。

で、こうして毎日およそ1時間の学習時間が確保されていた小学生期間から中学校に移行すると上に書いたような環境に放り出されるのです。

学校から出される宿題はごく一部。

それ以外はワークを使って「自主的に」勉強時間を確保する、自分のわかり具合をチェックする方式に変わります。

宿題で縛ったのでは生徒の自主性が失われる。

自主的に計画を立て、自主的に実行し、自主的に反省をして、自主的に改善するよう促していくべきだというとこでしょうか。

それって普通の中学生ができるの?

自主的に行動できなかった人へのアフターケアはあるの?

ちょっと疑問です。

中学生の大半は自主学習の習慣がなくなる

あれだけ毎日取り組んだ自主学習ですが、中学に入ったとたん大半の子がその習慣失います。

なぜでしょう。

部活が始まることによる中学ショックが原因?

つきあうメンバーが変わった影響?

細かい原因を考えればいくらでもあげられそうですが、主な原因はやはり自宅で勉強することを強制されなくからでしょう。

(そもそも課された自主学習は「自主」なのかってのは置いておくとして。)

中学生になったんだから自分でできるようになるでしょ。

と、期待半分で構えていると想像もしないような結果が返ってくるかもしれません。

そのショックをいかして次に頑張ってくれればいい。

そういう期待もあるでしょうが、実際そうやって次に生かせる子は経験上ごく一部です。

一度失敗したらおしまいというわけではありませんが、それを取り返すのにはかなりの根気や時間やお金を費やすことになります。

対策はあらかじめうっておくべきです。

もはや宿題で勉強習慣キープは期待できない

うちの子家でなかなか勉強しないんです・・・。

何度となく聞いたこの言葉ですが、今となってはそうなるのも仕方ないと思います。

何をいつまでにどれくらいやるべきか。

そういう具体的な目安がないとなかなか行動しづらいもんです。

宿題はそういう点でかなりクリアです。

提出日や範囲、場合によってはやり方なども指定されていますから。

嫌々でも行動には移しやすいです。

自主性が大事、言われたことしかできないような指示待ち人間にはしたくないという土壌を優先するあまり、言われたことすらできないような子を生み出していないかと心配になります。

どうひいき目に見ても、中学一年生の間くらいは、具体的な指示や一週間や二週間くらいの定期的なチェックは必要です。

つきっきりで面倒を見る必要はないですが、学校の課題がどこまで進んでいるかをチェックしたり、どこまでやるかを指示したりぐらいの付き添いはあってもいいでしょう。

現に通っている生徒の保護者の方も毎日のノルマを課したり、問題を出す側にまわってクイズ形式で理解度をチェックされたりしています。

やらせるにはかなりの労力を割かれているようですが、テストの結果などを見ても今のところ大きく転ぶことなくこれています。

これって過保護でしょうか?

僕はそうは思いません。

ずっと面倒を見続けると自分では何もできない子になっちゃう。

そういった心配の声を耳にすることもよくあります。

でも軌道に乗るまではできる限りの補助をしてあげるべきだと思います。

自分の力だけでなく塾などの外部の力を使ってでも。

こんなときどうすればいいかという行動の型を課題や強制のなかで身につけていくことが自立の一歩ではないでしょうか。

勉強のペースメーカーとして、難題のために贅沢に時間をかけるチャンスとして、自分の理解度をはかるものとして宿題は必要だと僕は考えます。

でも宿題があまり出されない現状を考えるとはじめは誰かが管理をしてでも学校のワークなどを解いて自己防衛する必要がありそうです。

 

この記事を書いた人

陌間 和将
山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。