全国トップの文字量13000文字を超える大ボリュームの神奈川県公立高校入試英語。
学校の定期テストで楽々8割取るような人でも、神奈川英語の前では歯が立たないケースは決して珍しくありません。
すでに過去問にチャレンジしている中学3年生もいることでしょうが、その文字量に苦しめられているのことでしょう。

そんな神奈川英語を攻略するキッカケになればいいなと思い、本日取り上げる話題が「名詞の後置修飾」です。

「名詞の後置修飾」と聞いて、何のことかピンときますか?
詳しい説明はこのあとするとしてみなさんにまず覚えておいてもらいたいのは、この名詞の後置修飾があることによって、英文が長くなっているという事実です。

長くなるということは英文がより複雑になるということであり、ただでさえ英語が苦手な人にとってはまさに「大きな壁」として立ちはだかるのがこの「名詞の後置修飾」だと思って下さい。

ではでは英語を本気でなんとかしたい諸君!がんばって読んでみて下さい。

名詞の後置修飾とは

名詞の後置修飾…名詞ろにいて、その名詞をくわしく説明(修飾)している表現

例 The cap on the desk is mine. (机の上にあるぼうしは私のものです。)

capという名詞を後ろに置かれたon the deskが、どんな帽子かを説明しているのがわかりますか?このように「名詞を後ろから詳しく説明する表現」をまとめて、名詞の後置修飾といいます。

これより先の説明では名詞ライン、後置修飾の部分をラインで示していきます。

日本人は後置修飾が苦手

さきほどの例文の日本語に注目してみましょう。英語では後置修飾の形をとっているのに対し、日本語では「机の上にあるぼうし」と名詞よりも前にくわしく説明する語句が置かれていますね。このように、前に置かれた語句が後ろの名詞をくわしく説明している表現を後置修飾に対し「前置修飾」と呼びます。

実は例文に限らず、日本語というのは「前置修飾」の言語なのです。
したがって、どうもこの英語の「後置修飾」という形がしっくりこない。
日本人は意識的に「後置修飾」について理解していかないとなかなか身に付いていかないのが現実です。

では、その名詞の後置修飾にはどんなパターンがあるのでしょうか?続いてそれを見ていきましょう。

名詞の後置修飾

パターン1:前置詞を含む語句

例:More people in our city will eat local food.[2019年神奈川県問6本文より]

(私たちの町にいるより多くの人々が地元産の食べ物を食べるでしょう。)

中学1年生から知らず知らずのうちに学習し、最も数多く登場する形なのがこの「前置詞」による後置修飾のパターンです。例文では前置詞inが作る語句in our cityが直前のmore peopleをどんな人々なのかくわしく説明していますね。

後でも述べますが、文頭にくる名詞は「主語(~は・が)」というのはさすがに中学3年生なら理解していますね。そして、主語の後には当然「動詞」があることを期待して英文を読み進めていく(コレ英文読解の超基本であり極意です)。

例文でもpeopleが主語だというのを理解して、動詞を期待して読み進めると前置詞inが出現しますね。「あれ、なんかおかしい、、、」実はこの感覚が非常に重要になります。

「この違和感、、、もしかして後置修飾?!」こう考えられるようになってくることが理想です。

パターン2:不定詞の形容詞的用法

例:It’s also a good place to meet my family in an emergency.[2019年神奈川県問8本文より]

(そこもまた緊急事態の時に私の家族に会う(ための)よい場所です。)

中学2年生で学習する名詞の後置修飾がこの不定詞の形容詞的用法です。「~するべき・~するための」と訳しましたね。説明が足りていない名詞の直後に置かれたto+動詞の原形に気をつけましょう。

復習のために、不定詞の形容詞的用法でよく登場する名詞を載せておきます。

・something「何か」
・thing「もの・こと」
・homework「宿題」
・work「仕事」
・time「時間」
・place「場所」

どの語もぼんやり漠然としていて、説明が足りていないのが感じられますよね。

パターン3:分詞

例:When Takuya was ten years old, he read a book written by a famous soccer player.[2019年神奈川県問3(ウ)より]

(タクヤが10歳の時、彼は有名なサッカー選手によって書かれたを読みました。)

中3で学習するにもかかわらず、定着に至っていない印象なのがこの分詞です。

分詞…動詞から分かれた詞(ことば)で、形容詞として働く。次の2つの形がある。

1:~ing形→現在分詞 「~している」と訳す
2:~ed形→過去分詞 「~される」と訳す(不規則動詞は活用表の3番目の形)

さらっと説明してしまいましたが「形容詞」ってどういう役割をするか即答できますか?

1:be動詞の後ろで「ドンナです」を作る

2:名詞を修飾して「ドンナ○○」を作る

この2つの働きを分詞はします。
be動詞の後ろで使う形は別の文法事項としてとっくに学習していますね。

be動詞+~ing形(現在分詞)=進行形「~しているところです」

be動詞+~ed形(過去分詞)=受け身形「~される」

不慣れなのが中3の中盤で学習する2の使い方です。
次の点に注意しましょう。

例1 Look at that flying bird. (あの飛んでいるを見て。)

例2 Look at that bird flying in the sky. (空を飛んでいるあのを見て。)

例1では名詞birdを現在分詞flyingが前から修飾している前置修飾の形をとっているのに対し、例2は名詞birdの後ろから修飾している後置修飾の形をとっていますね。その違いはなんでしょうか?

例1のように分詞1語だけ単独で名詞を修飾する場合は前置修飾の形をとり、例2のように分詞が他の語を伴って名詞を修飾する場合は後置修飾の形をとるのです。

また分詞を動詞と勘違いする事故も多発します。理由はかんたんで、進行形・受け身形と知識がゴチャゴチャになっているからです。そういう人が前の名詞を主語、後ろの分詞を動詞と勘違いしてしまうのです。

be動詞がないでしょうがbe動詞が!英語が苦手な生徒ほどbe動詞を軽視します。be動詞がなければ動詞として機能しませんから!ココ要注意!

パターン4:関係代名詞

例 The farmer also talked about the distance which food travels.

(その農場経営者は食べ物が移動する距離についても話しました。)

中学生にとって一番複雑なのが来ましたね。関係代名詞は、2文が1つになる過程をしっかり理解した上で覚えておかないとあとあと苦労してしまいます。

今回の記事ではとても書ききれませんのでじっくり説明するのはまたの機会にするとして、とりあえずさくっと。

関係代名詞…2文を1つに関係づけることができる代名詞

・前にくる名詞(先行詞)が人か人以外かで使い分ける

・うしろの代名詞の働きが主格か所有格か目的格かで使い分ける

といったところでしょうか。

具体的に関係代名詞を挙げると

主格の関係代名詞
・先行詞が人→who
・先行詞が人以外→which
・先行詞がどちらでもOK→that

目的格の関係代名詞
・先行詞が人→whom that
・先行詞が人以外→which
・先行詞がどちらでもOK→that

公立高校入試の場合は所有格が出題されませんのでカットしています。もはやネイティブの人もあまり使わないというwhomについて中学校ではどちらでもOKのthatで代用します。

そうなると実は公立高校入試で重要な関係代名詞というのはwho,which,thatの3つだけなんです。

ただし、目的格の関係代名詞は省略できるという点を絶対に忘れないで下さい。目的格の関係代名詞が省略された主語と動詞が前の名詞を修飾する形が非常に多く出題されます。

例:If the food we eat comes from other countries, it travels a long distance.[2019年神奈川県問6(ア)Cより]

(もしも私たちが食べる食べ物が他の国から来れば、それは長い距離を移動します。)

例文では先行詞foodのうしろにwhichまたはthatの関係代名詞が省略されています。文法問題としても長文読解の本文でもバンバン登場しますので、慣れるまでは「何が省略されているか」をきちんとつかむ練習をすることを強くオススメします。

以上の4パターンが名詞の後置修飾です。

神奈川県公立入試で「名詞の後置修飾」が何回登場したか?

ためしに2019年の神奈川県公立高校入試問題で、名詞の後置修飾が何回使われていたか数えてみました。

問1リスニング  3回
問2単語書き取り 0回
問3適語選択   2回
問4文の並べかえ 4回
問5英作文    1回
問6長文読解(スピーチ原稿) 57回 
問7読解(資料読み取り) 3回
問8長文読解(対話文) 29回

計99回      

地道に数えてみたら、なかなかエグい数字が出てきました(笑)
特筆すべきはやはり長文読解の本文中に多く登場することでしょう。

さらにこれを先ほどの4パターンに分類してみました。

前置詞を含む語句   65回 
不定詞の形容詞的用法 9回
分詞          9回
関係代名詞       16回(うち2回が脚注のついた関係副詞where) 

前置詞を含む語句による後置修飾が圧倒的に多いですね。ちなみにa lot of ~(たくさんの~), this kind of ~(この種の~), one of ~(~のひとつ)はイディオム扱いという認識でカウントしていません。また、名詞以外を修飾している前置詞もまったくカウントしていません。

ちなみにさきほど要注意と指摘した関係代名詞の省略は7回登場しています。

名詞の後置修飾の攻略法

では最後に、この名詞の後置修飾を攻略するためのポイントを2つ挙げておきます。

主語と動詞を探しながら読み進める

先述したとおり、英文で最初に登場する名詞は主語です。時を表す語句が文頭にくるなどの例外もありますが、ほぼほぼ書き出しにある名詞は主語です。

主語を見つけたならば動詞を探しましょう。中学生が意識しておくべき動詞は次の4つ。

1 be動詞…am,is,are,was,were
2 一般動詞…like,want,studyなど
3 助動詞+動詞の原形…can,must,shouldなど
4 have+過去分詞

これらを探しながら英文を読み進めるのがコツです。たいていの場合はさくっと見つかりますが、なかなか見つからない時は主語に対してさまざまな修飾が行われているサインです。その違和感を大事にして下さい。

修飾は文字通り「飾り」にすぎません。飾りに騙されずに動詞に辿り着く練習をしましょう。

後置修飾4パターンの型を心得ておく

次に各パターン別に発見するコツをつかみましょう。

前置詞を含む語句

今回神奈川県の入試問題を調べてみて、名詞の後置修飾に一番使われていた前置詞はof(~の○○)でした。次いでabout(~についての○○)for(~のための○○)などが多く出てきました。

前置詞については種類が多いので、よく使われる前置詞を覚えるのが一番効率的だと思います。

前置詞の中で筆者がとくに注意したほうがいいと感じるのはlike(~のような○○)です。
たいていの中学生は無警戒でしょう。like=好きのイメージが強すぎて、前置詞likeに気づかず迷路に迷い込んでしまいます。

不定詞の形容詞的用法

先述した不定詞の形容詞的用法によく使われる名詞とto+動詞の原形の組み合わせに反応する練習をしましょう。

そのためには形容詞的用法だけではなく、名詞的用法、副詞的用法など他の用法への理解も欠かすことができません。使い分けができてこその不定詞ですよ。

分詞

ポイントは2つ。
まずは不規則動詞活用表をきちんと覚えましょう。過去形と過去分詞形で形の違うものは一発で気づくことができます。

次にbe動詞の有無を確認することです。分詞の前にbe動詞があればbe動詞+分詞の形で進行形や受け身形の形をした動詞です。be動詞がなければ分詞による名詞の後置修飾が行われています。

あ、ただし現在分詞~ing(~している)に関しては、形が同じである動名詞~ing(~すること)との区別も必要になってくるので注意が必要です。

関係代名詞

名詞+who,which,thatの形は関係代名詞の典型ということで覚えてしまって構いません。(時間があるならば2文を1文にまとめる理屈から正確な理解を試みて下さい。)

注意したいのは関係代名詞の省略パターンです。名詞のうしろに突然主語+動詞の組み合わせが登場したら違和感を感じて下さい。その主語+動詞は直前の名詞を修飾している可能性大です。

まとめます

いかがでしたか。
名詞の後置修飾に慣れる練習法として、英文を精読して構造を正確に理解していく練習が効果的だと考えます。過去問でも市販教材でもいいので、全訳付きで本文解説の手厚い問題集をじっくりと読み込んでみて下さい。どれが主語でどれが動詞か?どの語句がどの語句を修飾しているか?こういったところを見える化していくのです。

不定詞・分詞・関係代名詞については文法問題で問われる可能性もあるので、英文法の問題集を使っての演習も効果があると思います。適語選択→文の並べかえ→英作文の順でステップアップしていくといいでしょう。

高い壁を乗り越えて、皆さんが志望校に手が届くことを心から応援しています。
いくぜ、令和初の受験生!

この記事を書いた人

加藤 正和
足柄駅前教室責任者/文系科目担当/時事モンGOの中の人

・「熱しにくく、冷めにくい。」一度火が付いたら止まらない性格。
・「書けそうで書けない絶妙なポジションの漢字」を探すのに夢中。

ユーミンとサザンとミスチルと中島みゆきとももクロをこよなく愛しております。でも最近のヘビロテはヒゲダンです♪
ビールと日本酒をこよなく愛しております。
したがって、カラオケと居酒屋をこよなく愛しております。

めったにブログ書きませんが
筆無精の「全力」をご覧ください。