今年度から指導要領の改訂にともなって教科書の内容も改訂されました。
その中身を見てみるとこれまでの国語に対するイメージが大きく変化しているのが分かります。
今回は、今までの国語と比べて今年からの国語がどう変わったかをお伝えしていきます。
目次
増えた情報処理
一番目を引く変更は情報処理に関する内容が大幅に増えたことです。
情報処理?とぼやけた言い方をしてもはっきりイメージしにくいと思います。
なので各学年で習う具体的な内容で表すと次の通りです。
中1
・ノートの取り方
・メモの取り方
・集めた情報を整理する方法
・各メディアからの情報収集方法
中2
・情報収集の方法
・メディアの比較
・根拠の確認
中3
・情報の信頼性について
・データの分析方法について
・情報の読み取り方のまとめ
国語ってどんな科目?と聞かれたら、文章を読んで、感想を書いて、段落をまとめてといったように今までは読解を大きな幹とした指導が行われていました。
そして情報処理に関してはその幹から分かれた枝のように点在している程度でした。
が、今年度の改訂により国語でも理科や社会で行われていたようなデータの収集と分析を指導するようになります。
そのため、これまでよりも調べ学習や、レポートを作成する機会が増えてくるでしょう。
表現の学習に関する内容も増加
データの収集に関する内容が増えるため、それを発表する機会も増えてきます。
そのため、文章を効果的にまとめたり、分かりやすく発表するための構成を学習する機会が増えています。
これも学年ごとにまとめてみると…
中1
・わかりやすく説明する構成(マッピング)
・意見と根拠
・話の構成
・聞き上手になろう
・話し合いの展開を考える
中2
・思考の視覚化
・より伝わるプレゼンテーションを学ぶ
・伝わる表現を推敲する
・様々な立場に立ったディベートの学習
中3
・スピーチの構成
・論述の展開
・批評文の書き方
・合意形成にむけた話し合い
こちらも3年間を通じて無理のない範囲で繰り返して表現について学ぶ機会が用意されています。
今までもあった表現方法を学ぶ内容に加え、中1のマッピング(思いついたことを図にする)や中2で学ぶマトリクス分類など現代のビジネスなどの場面でも使われている実用的な内容を学習していくようになります。
教科書改訂で国語はどう変わったか
一言でまとめると実用性がアップしました。
これまでも色々な単元で複合的に教えられていたことをテーマごとに細分化して、明確に何を学習するのかが分かりやすい形になりました。
また、今まででははっきりと指導されていなかった論の読み方、書き方についても細かく指導が入るようになっています。
これを受けて学校の指導も一方的に先生が話し生徒がノートをとるといった一方通行の授業は減り、生徒が実践する機会が増えてきます。
一昔に話題に上がった「アクティブラーニング」が形となったといえるでしょう。
生徒が気をつけておくこと
そうなると生徒が気をつけておきたいのはこれまで以上に授業に積極的に参加しなくてはいけないという点です。
説明された内容について自分で考え、行動する機会が間違いなく増えます。
話を聞くだけならボーっとしてもなんとかなりますが、実践の機会が増えればボーッとしている時間はすべて無駄になります。
その予防策として、生徒の積極性を評価するように評価方法も変えてきたのでしょう。
評価方法については以前書いた記事をご覧下さい。↓
懸念
余談ですが、これだけ情報処理に関する内容が増えているにも関わらず、物語や説明文、古文、漢詩などの文章数はほとんど減っていません。
つまり教科書の内容が単純にボリュームアップしています。
授業数が大幅に増えるわけではないので全体の内容を網羅するのは難しいでしょう。
となると授業ペースを速めるのか、単元をカットするのか、翌年に繰り越すのか。
特に今年は改訂初年度なので混乱は必至です。
その意味でも注意深く授業を聞いて置いて行かれないように必死に食らいついていきましょう。
この記事を書いた人
- 山王教室の責任者・国語の教科責任者を担当しています。
日常の授業を通して考える習慣を身につけてもらうべく、様々な仕掛けを凝らして授業をしています。
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